2011年7月31日日曜日

「〜る」による動詞化について考えてみました

数年前に考えていたことなのですが、どこにも意見表明していなかったので、今さらですけど書いておきます。発端は、数学記号の言語性の研究から、数学記号を日本語で読むことによる認知負担に思考が及び、そもそも日本語ってどういうものなのかを研究し始めたことからスタートします。

日本語には動詞が少ないとよく言われます。大野晋(おおのすすむ)先生の研究をたどると、元々の日本語は2音、3音の語が多く、それ以上のものは、2音語、3音語の組み合わせであることが多いことがわかっています。となると、必然的に動詞として使える組合せも限られてくるわけで、「動詞を作る仕組み」が必要になります。その一つとして、語尾に「る」や「する」をつける方法があります。「かもる」(かもにする)「お茶する」(軽食をとる)などです。この感覚は、日本語を話すものとしては比較的容易に理解できると思います。ということは、日本語が作られていく過程で、「〜る」という2音語動詞も作られたのではないかと考えて、50音順に検証してみることにしました。

ある…有る、在る、或るetc
いる…居る(「おる」とも)、射る、煎るetc
うる…売る、得る(「える」とも)
える…得る(「うる」とも)、獲る、選る
おる…居る(「いる」とも)、折る、織る

かる…狩る、刈る、駆るetc
きる…切る、着る、斬るetc
くる…繰る、来る
ける…蹴る
こる…凝る

さる…去る
しる…知る
する…する、刷る、擦るetc
せる…競る、迫る
そる…剃る、反る

たる…足る
ちる…散る
つる…釣る、吊る
てる…照る
とる…取る、撮る、獲るetc

なる…成る、鳴る
にる…煮る、似る
ぬる…塗る
ねる…寝る、練る、錬るetc
のる…乗る、載る

はる…張る、貼る
ひる…放る、干る
ふる…降る、振る
へる…減る、経る、歴る
ほる…掘る、彫る

まる…まる(古い言葉で「便をする」こと)
みる…見る、観る、看るetc
むる…?
める…?(愛でる)
もる…盛る、漏る、守るetc

やる…遣る、犯るetc
ゆる…揺る
よる…寄る、因るetc

らる…?
りる…?
るる…?
れる…?
ろる…?

わる…割る
をる…居る(古い仮名遣いで「をる」)

んる…?

こうしてみると、50音のすべての音に「る」をつけた言葉が存在するとは限らないことがわかりました。もしかすると、「る」を付ける前の1音には、そもそもの意味があったのかも知れません。つまり、1音語ということです。今でも東北地方では「け(食え、来い)」というような1音語が存在します。一方で、この中には発生年代の古いものと新しいものが混じっていて、日本語の起源とは関係がない語が混じっていることも考えられます。

特筆すべきことは、ラ行には「る」が含まれているにもかかわらず、ラ行に「る」をつけた言葉が見当たらないことです。ラ行は日本語の中でも特別な役割を持っているとか、何らかの形で後から日本語に組み込まれた音であるとか、何か理由がありそうです。また、日本語には珍しい子音のみで使われる「ん」の存在も特別なものと考えることができます。

というわけで、きっとどこかの誰かがすでに研究をしていることだと思うのですが、動詞の成り立ちを語の組み合わせで考えてみました。私は言語学者じゃないので、素人の戯言に過ぎませんが、こういう見方も面白いのではないかというちょっとした提案として受け止めて頂ければありがたいです。ちなみに、「2音語+る」もやってみたいところですが、検証に時間がかかる(「50通り×50通り+る」を検証する必要がある)のでやっていません。

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