2025年6月21日土曜日

Pd(Pure data)でシンセサイザープログラミング~シンセサイザーっぽいものを作ってみる

前回の続きです。Pd(Pure data)という音楽に特化したプログラミング環境を使ってシンセサイザーのようなものを作ってみたいと思います。前回同様、今回もレシピ本「Pd Recipe Book」を参考にしています。前回は、サイン波の音を出すプログラムを作ってみましたが、モジュラーシンセサイザーをいじっているような感覚でプログラムすることがわかってきました。モジュラー自体も(お金をかけずに)簡単に作ることができるため、夢のようなプログラミング環境ではあるのですが…。(万人向けではないことだけは確かでしょうね。(^^;;;)

前回作ったサイン波を出すプログラムを拡張して、「osc~」から出てくるサイン波を加工することを目指します。「Pd Recipe Book」で紹介されていたものを再現していきながら、配置された部品の意味や役割を確認しながら作業を行いました。作業としては、部品を選んで配置して、部品の中に文字列や数値を入力して役割を決めて、機能するように線でつなぐといった手順になります。部品の種類や中に入力した内容によって、つなげられるものとつなげられないものがあるようで、部品にマウスを近づけて「○」が表示されると線を引き出す(ドラッグ)ことができて、同じく「○」が表示されるところ離す(ドロップ)と線でつながります。とは言え、つなげられるから意味のあるつながり方になっているかと思いきやそんな単純な話ではなく、モジュラーシンセサイザーでも同じですが、思ったように音を変化させることができないつなぎ方もできてしまうところがあります。

そんな感じでなかなか一筋縄ではいかないところがあるものの、攻略する面白さ(これを面白いと思える人にとっての…)はのめり込ませるだけの魅力が十分にあると思いました。ということで、レシピ本を参考にして作ってみました。

動かし方が独特なので、はじめはどうすれば音が出るのか戸惑うかもしれません。「Pitch」とラベリング(任意なので名前は何でもよい)した「ナンバー」部品をクリックして、画面上側にドラッグしていくと数値が上がっていきます。それに伴って、音が出ます。直接数値を入力して、Enterキーを押しても音が出ます。マウスを操作している間は、音が変化しながら鳴り続けますが、マウスを止めたりEnterを押して音を出したりした場合は、一定時間で音が止まります。「*~」につながっている「ナンバー」部品は、音が出ている状態と止まっている状態を表しています。音を鳴らし始めると自動的に「1」になり、しばらくすると「0」に戻ります。他の「ナンバー」部品の数値を変更した場合も、「Pitch」をクリックしてしてからでないと音が出ません。このあたりの「暗黙のルール」がもう少しわかりやすいとユーザーが増える気がしますが…。

ということで、少しずつ部品の役割(挙動)がわかってきました。「ナンバー」部品は、編集モードをやめて実行モードにしても数値を変更することが可能です。(「オブジェクト」部品の中に入力した数値は、編集モードでなければ変更することはできません)つなぎ方によっては、他の数値の変更と連動して自動的に「ナンバー」部品の数値が変わることもあります。今回のシンセサイザーっぽいプログラムでは使いませんでしたが、「リスト」部品も数値などを格納することができると思われるので、もう少し詳しく調べてみたいと思っています。

「ナンバー」部品の数値を変更する方法として、マウスを使って上下にドラッグする以外に、「垂直スライダ」部品や「水平スライダ」部品を使って、スライダの出力側と「Pitch」の「ナンバー」部品の入力側をつなぐと、スライダを動かすことで数値を変更できることがわかりました。少しだけシンセサイザーを操作している感じに近くなってきました。この場合、スライダのバー(「つまみ」のようなところ)をクリックすると音が出ます。このスライダのバーを「垂直…」なら上下に、「水平…」なら左右にマウスで移動すると音が変化します。これは絶対沼るやつです。

「Pd(Pure data)でシンセサイザープログラミング」

2025年6月14日土曜日

Pd(Pure data)でシンセサイザープログラミング~はじめの一歩

だいぶ以前から気になっていたのですが、Pd(Pure data)という音楽に特化したプログラミング環境があります。ブロックプログラミングとテキストプログラミングとの中間な感じのプログラミング方式が採用されていて、一見すると色気もなくて何をどうすればよいかよくわからないと思われてしまいそうなのですが、使ってみると楽器そのものを組立てているような面白さにハマる人が多いようで、意を決してそんな世界に足を踏み入れてみることにしました。

とは言え、MacBook ProにPd-extended(すでに開発終了)をインストールしたのは記憶にないくらい前のこと。興味をもったままPd-extendedをインストールして、ほぼ何もしないまま放置して、しばらくしてまた思い出して、レシピ本「Pd Recipe Book」を購入してまたしばらく放置して…を繰り返していたので、お気付きの通り何も進んでいませんでした。

まずは自分の情報をアップデートするところから始めます。そもそもPdの開発は、Pure data (Pd) Vanillaと、それにライブラリなどをパッケージしたPd-extendedとで別々に開発・メンテナンスされていたようなのですが、現在は、もともとのPd Vanillaに統合されているようです。今回は、Pdのダウンロードサイトから最新版をダウンロードしてインストール作業(展開して出てきたアプリをアプリケーションフォルダにコピー)をするところから始めました。

Pdを起動すると、ログ窓が表示されます。作業を進めていくと、このログ窓にPdの動作ログなどが表示されます。

「ログ」の後ろの数字は、表示する内容がどの設定なのかを表す番号になっていて、「2」は「通常」のログ表示ということのようです。すべてのログを見たい場合には、「4」にします。表示する文字数の節約という意味では意図はわからなくもないのですが、ユーザーフレンドリーであるかどうかという点では微妙な感じがします。このあとの作業でも感じたことですが、使いながら意味を考えたり、本やWebサイトで調べて「省略されている文字」の意味を理解したりしながら作業することが多くて、「一見さんお断り」な雰囲気を感じてしまいます。
#音楽(音)や電子楽器の知識はあった方が良いかもしれません。

気を取り直して作業を進めていきます。今回は、先ほど紹介した「Pd Recipe Book」以外にも、「Pure Dataについて調べてみた」を参考にして作業を進めます。Pdの「ファイル」メニューから「新規」(⌘N)をクリックしてキャンバス窓を開きます。ここに様々な部品を「配置」メニューから選んで配置していきます。部品には、文字列や数値を入力できるものやマウスで操作するものなどがあります。新しくキャンバス窓を開くと「編集モード」になっているので、そのまま「配置」メニューから部品を選択してキャンバス窓に置くことができます。プログラムの動作確認をするときには、「編集」メニューから「編集モード」(⌘E)のチェックを外して実行モードで動作させます。(簡単なものであれば「編集モード」のままでも確認できることはあります)さらに部品を追加したい場合は、そのまま「配置」メニューから部品を選ぶとキャンバス窓が「編集モード」に変わってくれます。
#ログ窓とキャンバス窓は、どれか一つしか選べない仕様になっているため、その窓がアクティブか非アクティブかによって使えるメニューの内容が変わります。

つまずきどころは、部品に入力する文字が「小文字縛り」だったこと。シンセサイザー周辺の表記は「OSC(オシレータ)」とか「ENV(エンベロープ)」などと大文字で書かれるイメージがあったため、大文字で入力するものとばかり思っていました。Pdでは、すべて小文字でなければならないということで、初歩の初歩である「osc~」から「dac~」につないで音を出すところでつまずいてしまいました。orz(よく見れば、本でもWebサイトでもすべて小文字だったのだけど、「osc」って偶然にも大文字と小文字の区別がつきにくいのよね…)とりあえず、サイン波の音を出すことはできました。

「440」というのは、お察しの通り「440 Hz(A4)」の音という意味です。(このBlogでもたびたび登場しています)この数値を変えると、様々な音程のサイン波を出すことができます。これをベースにシンセサイザーっぽいものを作っていきたいと思います。続きは次回以降ということで。

「Pd(Pure data)でシンセサイザープログラミング」

2025年6月4日水曜日

ワイルドミニ四駆をiPhoneからリモートで動かす(MKZ4をiPhoneからコントロールする)

前回の続きです。秋月電子通商で購入した「MKZ4」という、タミヤワイルドミニ四駆iPhoneなどのスマホから無線で動かせるように改造するキットを使ってみるという話の3回目(最終)です。前回までで組立作業が完了して、今回はWi-Fiを利用してiPhoneからコントロールできるかやってみます。
#MKZ4は、メーカーサイトでも売り切れています。

メーカー公式YouTubeチャンネルで公開されている「スマホで操作する改造ミニ四駆製作キット「MKZ4」 [Cerevo]」を参考にしながら作業を進めました。手順をテキストで表すと以下にようになります。
#MKZ4のCN3(L字ピンヘッダ)のショートピンがB側になっていることを確認してから作業をしてください。

  1. MKZ4の電池ボックスに単4電池を3本入れてスイッチをONにする(MKZ4のLEDが点灯する)
  2. iPhoneの「設定」を開き、「Wi-Fi」の接続先に出てくる「MKZ4」をタップしてMKZ4と接続する
  3. Webブラウザーを開きアドレスバー(URLなどを入力する欄)に「192.168.4.1」と入力してMKZ4にアクセスする
  4. 「CONNECTED」という青緑色の画面が出たら準備OK
    #推奨されるWebブラウザーは「ユーザーガイド」のページに掲載されています。
  5. 青緑色の画面をスワイプしてワイルドミニ四駆を動かす

マニュアルの文書は、PDFファイルで公開されていますので、こちらも参考にしながら作業を進めました。前進は画面下方から上方にスワイプし、後進は画面上方から下方にスワイプするといった操作をします。ステアリングは、左右のスワイプで左右に傾けることができます。前後進は問題なく動作しましたが、ステアリングの動きがおかしくて、ステアリングを動かそうとするとどちら向きに動かしても右側に傾いてしまいます。動作中にMKZ4のLEDが点いたり消えたりするので、はんだ付けが不十分なところがあるのかもしれません。もう少し調整作業が必要なことがわかりましたが、とりあえず動作することだけは確認できました。
#事情により、USBでPC等に接続できるデジタル顕微鏡を職場の職員に貸し出しているので、返却されたら調整作業をやっていきたいと思います。

「ワイルドミニ四駆をiPhoneからリモートで動かす」

2025年5月23日金曜日

ワイルドミニ四駆をiPhoneからリモートで動かす(MKZ4の設定と組み上げまで)

前回の続きです。秋月電子通商で購入した「MKZ4」という、タミヤワイルドミニ四駆iPhoneなどのスマホから無線で動かせるように改造するキットを使ってみるという話です。フィジカル・コンピューティングの教材ネタとして購入したものの、いろいろとつまずいてしまって完成までに時間がかかっています。
#MKZ4は、メーカーサイトでも売り切れています。

前回は、メーカーサイトの説明書を読みながらMKZ4のはんだ付け作業を行ってきました。今回は、基板上にはんだ付けした「ESP-WROOM-02(ESP8266EX)」モジュールにプログラムを流し込んでいきます。使用するツールは、Arduino IDEです。Arduino IDEでESP-WROOM-02のプログラミングをする場合は、マイコンボードに合わせた設定を行わなければなりません。すでにArduino IDEをESP8266のプログラムに対応させているのであれば、以下の作業は必要ありません。はじめてArduino IDEでESP8266を使う場合には、以下の作業を行ってください。(Arduino IDEが起動している状態からの作業になります)

  1. 「Arduino IDE」メニューから「Preference(基本設定)…」を選択して設定画面を表示させる
  2. 「追加のボードマネージャのURL」欄に
    「https://arduino.esp8266.com/stable/package_esp8266com_index.json」
    と入力して「OK」ボタンを押す
  3. 「ツール」メニューから「ボード:… >」→「ボードマネージャ」とたどり、検索窓に「esp8266」と打ち込むとESP8266用のプログラムが表示されるので、最新版をインストールする

#MKZ4のマニュアルサイトでは、追加のボードマネージャのURLが「http://arduino.esp8266.com/stable/packageesp8266comindex.json」となっていますが、上記で示したURL(「https://…」から始まる)に変更されているようです。

ここまでで、Arduino IDEの準備は終了です。ESP-WROOM-02モジュールに書き込むプログラム(.ino)を用意します。プログラム自体はgithubの「cerevo/MKZ4」にあるので、「< > Code」ボタンをクリックして「Download ZIP」を選択してダウンロードしておきます。ダウンロードした「MKZ4-master.zip」を解凍すると、「MKZ4-master」というフォルダが現れるので、その中から「Cerevo_MKZ4」というフォルダをArduinoのプログラムを保存してあるフォルダに入れます。
#Arduino IDEを起動したときに、(任意で変更していなければ)「書類(Documents)」フォルダ内に「Arduino」フォルダが作られると思いますので、この中に入れるのが一般的だと思います。

次にボード側の作業をします。MKZ4のCN3(L字ピンヘッダ)のショートピンをD側にして、「MKZ4WK(専用の書込ツール)」をつなぎます。ここから、USBケーブルでコンピュータにつなぎます。

「ツール」メニューから「ボード:… >」→「ESP8266 Boaards(…)」とたどり、「Generic ESP8266 Module」を選択します。ポート名は環境に依存します(LinuxやmacOSでUSBシリアル接続すると「/dev/…」から始まるポート名が使われています)ので、USBケーブルで接続してみて表示されたものを選択しました。はじめは、MacBook Proで動かしているArduino IDE(2.x系と1.8.19の両方)を使いましたが、残念ながら途中でエラーを吐いてうまくプログラムを書き込めていない様子。例によって、USBシリアル通信がうまくできていないようなので、続きの作業をLinux Mintで動かしている自作PCを使ってやってみました。すると、2.x系も1.8.19も無事にコンパイルと書き込みができました。
#一度コンパイルと書き込みをしてから再び書き込む必要があった場合には、USBケーブルを抜いて接続を切って再度挿し直しをしないとエラーが出るようです。

あとは、説明書に従って走行できる状態まで組み上げていきます。MKZ4制御基板のCN3ショートピンは、B側にしておきます。

反省点は、完成までに数年かけてしまったことで、ネジ類が他のものと混ざってしまって焦ったことでした。幸い捨ててはいなかったので無事に組み立てられましたが、忘れないうちに一気に組み立てた方がよいですね。iPhoneからの動作確認は次回ということで。

〈参考資料〉

「ワイルドミニ四駆をiPhoneからリモートで動かす」

2025年5月17日土曜日

ワイルドミニ四駆をiPhoneからリモートで動かす(組み上げる前までの準備として)

忘れてしまうくらい遠い過去に、秋月電子通商で「MKZ4」というタミヤワイルドミニ四駆iPhoneなどのスマホから無線で動かせるように改造するキットを購入していました。当時は、マイコンボードでモーターを制御したり、ロボットカーのようなものを作ることに興味があったのだと思います。プログラムを流し込んでワイヤレスで制御できる「ESP-WROOM-02(ESP8266EX)」モジュールを使う改造キットだったことも興味をもった理由だったかもしれません。
#現在は、メーカーサイトでも売り切れのようです。

これが、自室の作業台の隅の方に作りかけのまま長いこと放置されていたことが突然気になり、かたをつけるつもりで完成を目指して作業を再開しました。とは言え、なぜ長いこと放置されていたかと言うと、「組み立てが面倒」(素人さんお断りな感じ)だったからでした。

購入した直後から説明書を読みながら必要なものを買いそろえて、組み立て作業をしていく中でいろいろとつまずいて、しばらく作業台の隅に放置して、ふと思い出して作業を少し進めてはまたつまずいて、といったようなことを繰り返していました。購入から何年が経っただろうと記憶が曖昧になっている状況です。

習慣として、自分の作業履歴をメモに残していたのですが、最後の作業時期は新しい家に住み始める前のことで、引越し作業の中でも気にはなっていたのですが、いつでも続きができるように目の届く範囲に置いていました。そんなわけで、何度目かの「重い腰」を上げて作業の続きをしていきたいと思います。以下、書き留めていた記録をもとに、整理してまとめていきたいと思います。

1つ目のつまずきどころとして、ワイルドミニ四駆の本体を切断しなければならないというところ。試行錯誤の末に、Pカッターとリュータ、ニッパーを使って切断作業をしました。マニュアルとにらめっこをしながら、切断する場所や効率よく切る方法を考えて切断していきます。削りカスが飛び散るので、段ボール箱に半透明なビニール袋(45L)を掛けてその中で作業をしました。材質は硬くないので切ること自体は難しくないのですが、構造が面倒なことになっていて、どのラインで切るか決めるのが難しく感じました。途中、リューターの故障などハプニングはありましたが、残りをPカッターとニッパーで切断してヤスリでバリ取りをして切断作業は終了しました。

次にMKZ4の制御基板に電子部品をはんだ付けしていきます。ESPRESSIF SYSTEMSのESP-WROOM-02モジュールを載せるのが一番大変でしたが、後はそれほど難しくないので説明書の通りにやればできると思います。表面実装部品のはんだ付けは、フラックスを塗った方がはんだが乗りやすいです。その後、無水エタノールで洗浄してキムワイプとブラシ(ナイロンのもの)で洗浄しました。簡易な顕微鏡のようなものがあると、はんだ付けの状態を確認することができるので便利です。
#私は、USB接続のマイクロスコープを使っています。

はんだ付けの手順としては、オーソドックスに背の低い部品から徐々に高い部品へと取り付けていくと良いと思います。1000pF(102)のセラミックコンデンサは、パスコンとしてモータにはんだ付けします。動作確認がしやすくなるように、制御基板の作成と配線、ミニ四駆の組立作業を進めていく感じが良いと思います。

さて、作業の記録が長くなってきてしまったので、とりあえず続きは次回ということにしたいと思います。

〈参考資料〉

「ワイルドミニ四駆をiPhoneからリモートで動かす」

2025年5月11日日曜日

リコーダー風の電子楽器を購入してみた

最近、吹奏楽器の中でも「笛」と呼ばれる形状の楽器にアンテナが高くなっています。もともと金管楽器の指導をしていた頃にも、より簡単に音が出る「笛」には興味があって、民族楽器的なものも含めて気になったものを買っていました。
#そう言えば、だいぶ昔に欲しくて欲しくて購入した「オカリナ」をすぐに落として割ってしまったかなり残念な記憶が蘇ってきました。orz

笛型の吹奏楽器の1つである「ウィンドシンセサイザー」は、私自身にとっても長年の憧れなのですが、価格の問題がブレーキになってなかなか手が出せずにおりました。もともとは「リリコン」と呼ばれた製品がありましたが、現在ではAKAIEWI(Electronic Wind Instrument)シリーズが一番有名でしょうか。この分野は昔から一定の需要があるらしく、文字通り「息の長い」製品となっています。一方、「ブレス・コントローラー」というシンセサイザーの周辺機器的なものもあって、打鍵ではなく吹奏でシンセサイザーの音を鳴らす(鍵盤は音程を選ぶだけ)ことにも需要があるようです。(こちらは「鍵盤ハーモニカ」の電子版のようなイメージです)いずれにしても、費用対効果を考えるとなかなか手が出ず、齢ばかりを重ねていました。

そんな中、Amazonで「Electric Blowpipe」という、1万円を切る価格ながらリコーダーのように演奏ができる電子楽器を見つけて衝動買いしてしまいました。英語的にはあまり楽器らしくないネーミング(Blowpipe:「吹き矢」とか「火吹竹」のような道具の意味らしい)の中華製電子楽器です。パッケージには型番らしきものはなく、一番大きく書かれているのは「MADE IN CHINA」という文字で、購入の決め手はMIDIにも対応していると謳っていたことでした。
#中華製品あるあるですが、製造元だとか正式名称だとか型番だとかを探していると、同じような製品の情報が大量に出てきて収集がつかないのに肝心の知りたいことが全くわからない状況です。

パッケージの中に入っていたのは、本体と専用の布袋、シリコンマウスピース、説明書(英語)だけで非常にシンプルです。機能もかなりシンプルで、「音を出す」ということだけであれば、電源を入れて息を吹き込めば音が出ます。指使いもシンプルだし、吹奏による音量の変化もわかりやすいと思いました。意外に思ったのは、そこそこの重量があること。筐体が金属でできているようなので、その重さがほとんどなのかもしれませんが、本物のリコーダーに比べたらかなりずっしりと重たいです。800mAhリチウムバッテリー内蔵なので、充電して使うことになります。

13の音色で演奏ができることになっていますが、音色リストは以下のとおりです。

〈Tone List〉

  • 01 Alto Saxophone(アルトサックス)
  • 02 Soprano Saxophone(ソプラノサックス)
  • 03 Morin Khuur(モリンホール)
  • 04 Clarinet(クラリネット)
  • 05 Hulusi(フルス)
  • 06 Trumpet(トランペット)
  • 07 Suona(ソーナー)
  • 08 Ocarina(オカリナ)
  • 09 Flute(フルート)
  • 10 Bamboo Flute(DIZI:ディジ)
  • 11 Recorder(リコーダー)
  • 12 Violin(バイオリン)
  • 13 Erhu(アルフー:二胡)

音色のチョイスは独特なものを感じましたが、民族楽器も好きな方なので(再現性は確かめようがないものの)嫌いじゃないと思いました。肝心の演奏感としては、吹奏楽器として吹いた感じと音の出方(反応)には、違和感はありませんでした。運指への反応も悪くない。唇を締める圧力までは感知していないので、電子リコーダーと呼べばよいでしょうか。欲を言えば、両手の親指だけで楽器を支える状態になったとき、楽器自体が重くて落としてしまいそうになるので、首にかけるストラップのようなものがあったら安心して演奏できるかなと思いました。

もう一つ難点を言うと、裏面側の操作スイッチ(押しボタン)が直感的にわかりにくいこと。電源マークのボタン以外は、1〜9の数字が刻まれているボタンに機能が割り振られているのですが、簡易な説明書を読むまではそれぞれのボタンにどんな機能が割り振られているのかわかりません。2桁の7セグLEDで何かを表現しようとしているようなのですが、数字とアルファベット2文字の略語のような表現なので、割り振られている機能を理解していないと意味がわからないと思います。そもそも1〜9の数字が刻まれている意味がなく、何か別の製品のボタンを使い回している(だから安い)のではないかとさえ思ってしまいます。

とは言え、1万円以下でこのレベルの電子楽器が手に入ることにはちょっと驚きを感じました。まだMIDIのテストはしていませんが、どんなことができるのか、期待半分怖さ半分で試していきたいと思います。

2025年5月4日日曜日

Raspberry Pi Pico 2を使ってみた〜ビジュアルプログラミング

前回の続きです。Raspberry Pi Pico 2を使ってフィジカル・コンピューティングの動作確認をしていきます。前回は、Thonnyを使ったMicroPythonプログラミングでの動作確認をしました。今回は、ビジュアルプログラミング環境での動作確認をしたいと思います。以前の記事(「Piper Make編」「BIPES編」)で、Piper MakeBIPESでの動作確認をしましたが、今回もこの2つのサイトを利用してビジュアルプログラミングの動作確認をしていきたいと思います。
#今回も動作確認に使うPCは、Linux Mintで動かしている自作PCを使用します。

〈Piper Make編〉
先ほど紹介した拙Blogの記事を参考にしながら、Piper Makeで動作確認をしてみました。まず、ChromeブラウザーでPiper Makeのサイトを開いて「CREATIVE」モードにしておきます。Piper Makeは専用のファームウェアを使用するので、「SETUP MY PICO」ボタンをクリックしてセッティングを開始します。Pi Picoを(ストレージモードで)PCに接続したときは、「RPI-RP2」という名称のUSBストレージデバイスとして認識されたのですが、Pi Pico 2では、「RP2350」という名称になっていました。とりあえず、この中にファームウェアをインストールするように選択をして、セットアップを終えました。

Pi Pico 2(RP2350)の中には、「piper_circuitpython.uf2」というファームウェアが書き込まれたようですが、自動で再起動されることはなく、手動でUSBケーブルを抜いて再度PCへ接続してみました。この状態でPi Pico 2をPCに接続しても、基本的には何も起きません。そこで、Piper Makeの「CREATIVE」モードから、過去に自分が作ったLチカプログラムを開いて動作確認を進めていきます。プログラムを開いたウィンドウの左下に「CONNECT(接続する)」ボタンがあるのでこれをクリックします。すると、シリアルポートが読み取られて接続できるPi Picoが表示されるはずなのですが、「対応デバイスが見つかりませんでした。」と表示されてPi Pico 2は認識されていないようでした。

Piper Makeを詳しく調べていくとPi Pico 2での動作についての記述が見当たらず、今後のことはわかりませんが、現状ではPi Pico 2には対応していないようでした。

〈BIPES編〉
気を取り直して、次にBIPESでの動作確認をしていきたいと思います。こちらも先ほど紹介した拙Blogの記事を参考にしながら作業を進めていきます。BIPESは、内部的にMicroPythonを使うので、動作確認に使用するPi Pico 2にはあらかじめPi Pico 2用のファームウェアを入れてセットアップをしておきます。

BIPESのサイトを開いて、接続するデバイスを選ぶところで嫌な予感がしました。「Raspberry Pi Pico 2」は、選択肢にありません。仕方がないので、ダメ元で「Raspberry Pi Pico」を選択して、デバイスの「Connect(接続)」ボタンをクリックしてみました。すると、シリアルポートに「tty」から始まる接続先が現れたので、これを選択してから「接続」ボタンをクリックしました。
#接続先のポートがわからない場合は、Pi Pico 2をつないでいるUSBケーブルを抜き差しして、消えたり現れたりするポートを確認すると、接続先のポートを見つけることができます。(ターミナルコンソールを開いて確認するより速い)

以前に作っていたLチカプログラムがそのまま残っていたので、少々ドキドキしながら「RUN(右向き三角マーク)」ボタンをクリックしてみたところ、Lチカ動作確認ができてしまいました。期待をしていなかったので、思わず「動いた!」と声を上げてしまいました。
#ここで使ったLチカプログラムも先ほど紹介した拙Blogに記載していたものです。

ということで、Pi Pico 2でビジュアルプログラミングをやりたい場合は、BIPESならできるということがわかりました。日本の小学校でこれを使いたいという場合には、やはり英語表記がネックになると思います。これをよい機会と捉えて、「英語の学習も兼ねて」なんて思ってくれる方がどのくらいいるかわかりませんが、個人ベースでなら小学生でもチャレンジしてくれる子がいてもよい気がしています。こういう攻略を楽しめる子が増えてくれると嬉しいのですが…。

「Raspberry Pi Pico 2を使ってみた」