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2026年8月16日日曜日

エフェクターの中身を見てみよう〜Auto Wah

前回の続きです。前回は、「Analog Phaser(FC13 Analog Phaser=FLAMMA(Shenzhen Flamma Innovation社))」の中身を見てみましたが、今回は、Auto Wahエフェクターの「Dynamic Wah=DONNER(Donnermusic社)」の中身を見てみたいと思います。

前に紹介した2冊の自作エフェクター解説本には、Auto Wahの作例はありませんでした。そこで、Googleで検索すると、Geek IN Boxさんの「ファンクサウンドにマスト! ベース用オートワウの概要や使い方、おすすめモデル3選」や萩原悠.comさんの「ギター,ベースにオススメのエンベロープフィルター(タッチワウ)まとめ」というページが見つかりました。また、以前にも紹介したM.I.の趣味の部屋さんの「Auto Wah/Wah」の回路図も参考になりそうだと思いました。

Auto Wahはフィルターの一種で、入力された音を人の声のように「ワウワウ」言うような音にするエフェクターというとイメージしやすいかもしれません。様々な回路図を見比べてみると、一番シンプルな構成は、オペアンプ、電解コンデンサ、抵抗(可変抵抗も)で回路が組まれていることが多く、他に2SK30(FET=電界効果トランジスタ)を使っているものもありました。オペアンプに電解コンデンサと抵抗(可変抵抗も)が接続されているだけのものもあったので、FETが必須というわけではないと思われます。
#回路については、松美庵さんの「Funky Wah 製作記「製作」」やアナログ電子楽器の回路を読む2の「Auto Wah(Guitar Magazine, Jul. 2005)」も参考にしました。

それでは、Dynamic Wahを開けて見てみます。用意した道具は、前回と同じなので省略します。

〈「Dynamic Wah」の主な部品構成)

  • 可変抵抗(ボリューム)(小)…B100K(Bカーブ100kΩ)
    ※「SENS(Sensitivity)」の変更
  • 可変抵抗(ボリューム)(小)…B50K(Bカーブ50kΩ)
    ※「RES(Resonance)」の変更
  • 可変抵抗(ボリューム)(小)…B1M(Bカーブ1MΩ)
    ※「DECAY」の変更
  • 可変抵抗(ボリューム)(大)…B50K(Bカーブ50kΩ)
    ※「RANGE」の変更
  • LM13700M(SOIC-16)…Dual Operational Transconductance Amps(←ナショセミ(2011年Ti社に買収)の刻印あり)
  • RS8454P(SOP-14)…Operational Amplifier CHIP IC(RUNIC社)
  • 電解コンデンサ(面実装)…CK2.2(2.2μF50V)、CK220(220μF16V)、CK47(47μF16V)、CK1(1μF50V)*2
  • SS14(面実装)…ショットキーダイオード(onsemi社)
  • D4 sM(SOT-23)*2…MMBD4148SE(MCC社・DIODES社など)ツインダイオード(高速スイッチングダイオード)
  • 1AM(SOT-23)*2…MMBT3904(MCC社・onsemi社など)NPN型汎用トランジスタ(汎用小信号増幅およびスイッチング)
  • XY(SOT-23)…2SK209TOSHIBA社)NチャネルJFET (高周波増幅用)トランジスタ(FMチューナRF、ローカル発振、汎用高周波増幅)
  • AMS1117(SOT-223)KF-5.0V…三端子リニア電圧レギュレータ
  • その他…チップ抵抗・チップコンデンサ・ダイオード(小信号)・LEDなど

オペアンプやトランジスタに電解コンデンサや抵抗(可変抵抗も)をつないで基本的なWahの機能(フィルタ)を実現しているようです。音に与える効果は、レスリー・スピーカー(ロータリー・スピーカー)にも似ていると言えるかもしれませんが、物理的にスピーカーを回すことでドップラー効果によって音を変化させるレスリー・スピーカーとは仕組みが大きく違うので、同じような音にするのは難しいように思いました。

実際に、エレキベースで使ってみると、いい感じのワチャワチャした音になります。「イミテーション・ゴールド」のイントロで流れるリフとか、天知茂主演の江戸川乱歩(←青空文庫)のドラマシリーズで事件を予感させるBGMのイメージ(伝わるか?)がして、しばらく音を楽しんでみました。
#ちなみにではありますが、レスリースピーカーについては、「ハモンドオルガンとは?レスリースピーカーとは?」で詳しく解説されています。(…作ってみたいかも)

エフェクターの中身を見てみよう」

2026年8月10日月曜日

エフェクターの中身を見てみよう〜Analog Phaser

以前にも紹介している「小さなエフェクター」について、並べて眺めて愛でているだけでなく、エレキベースにつないで音を出しているうちに、過去の自分がエフェクターに興味をもって資料を探していたことを思い出しました。今回は、過去に購入していた「ド素人のためのオリジナル・エフェクター製作」(シンコー・ミュージック)と「サウンド・クリエーターのためのエフェクタ製作講座(←絶版のためCiNiiのリンク)」(洋泉社←2020年に宝島社へ吸収合併)を片手(両手?)に、実物の「小さなエフェクタ」を教材にしながら、エフェクターについて深堀りしてみたいと思います。

とは言え、先の2冊の本で紹介されているエフェクターやその仕組みや回路などの資料も限られていますし、ネットで拾える情報があればそちらも参考にしつつまとめていきたいと思います。今回は、「Analog Phaser(FC13 Analog Phaser=FLAMMA(Shenzhen Flamma Innovation社))」の中身を見ていきます。参考にしたWebサイトは以下のとおりです。

Phaserというエフェクターは、「フェイズシフタ」とも呼ばれるもので、「位相をずらす」回路で作られたエフェクターです。「ド素人のための…」には、「RETRO PHASER」として紹介されています。NJM4558(2回路入汎用オベアンプ)を2つ使った作例が紹介されていて、4回路のオペアンプを使った回路になっていました。M.I.の趣味の部屋さんの回路にも、同じオペアンプが使われていました。可変抵抗で「SPEED」を変更する回路になっているところは、私が購入した「FC13 Analog Phaser」と構成が似ています。「エフェクタ製作講座」の方では、「FET Phaser」と「OPTICAL Phaser」が紹介されています。「FET Phaser」には、JRC324D(4回路入汎用オペアンプ=NJM324D日清紡マイクロデバイス))が2つ使われていて、3つの可変抵抗がそれぞれ「SPEED」「FEEDBACK」「DEPTH」の変更に対応しています。先程の「RETRO PHASER」に比べると、オペアンプの数が2倍になっています。「OPTICAL Phaser」の方は、4つのフォトカプラが使われていて、「FET Phaser」のJRC324D(←JOTRIN)を1つだけJRC2060(4回路入汎用オペアンプ)とJRC4560(2回路入汎用オペアンプ)に置き換えた構成になっています。「FET Phaser」に比べて回路がシンプルになっているところが大きな違いのようです。

それでは、FC13 Analog Phaseを開けて見てみます。用意した道具は、以下のとおりです。

  • +ドライバー…PH2
  • スパナ…12mm(TS/TRSジャックのナット)と14mm(フットスイッチのナット)
  • IC引抜工具…可変抵抗のキャップ(つまみ)を外すために使用

〈「FC13 Analog Phase」の主な部品構成〉

  • 可変抵抗(ボリューム)…約470kΩか?(この可変抵抗だけ独立した基板に載っていて、メイン基板から分離してテスターで測定=約462kΩ)
    ※「SPEED」の変更
  • トグルスイッチ…(D)Q11(2極)←公式サイトなどの情報は見つからず
    ※「VINTAGE/MODERN」の切替
  • フットスイッチ…2723B(ON/OFF=オルタネート)←公式サイトなどの情報は見つからず
  • 741C(SOIC-8)*6…1回路汎用オペアンプ(ST社)
    ※1+4+1構成
  • BF256B(TO-92)*4…N-ch J-FET RF Amplifier(onsemi社)
    ※基板裏
  • 半固定抵抗(3362)…254(250kΩ)
    ※基板裏
  • タンタルコンデンサ…227C(面実装220μF)・156V(面実装15μF)・106C(面実装10μF)
  • C3(SOT-23)…1SS226(←MOUSER)スイッチングダイオード
  • SS14(面実装)…ショットキーバリアダイオード(onsemi社)
  • その他…チップ抵抗・チップコンデンサ・ダイオード(小信号)・LEDなど

小さな筐体に入れることを考えると、回路数の多いオペアンプを使っても良さそうなものですが、1回路のオペアンプが複数並んでいました。これは、回路設計を単純化するため(音の安定性にも関係する?)か、価格を安く抑えるためかと思いました。これまで見てきた回路例などと比べて考えると、複数のオペアンプを使って「位相をずらす」回路を作っているのだろうと思います。「VINTAGE/MODERN」によって信号が通る回路が変わるはずなのですが、基板上では経路を追うことができませんでした。予想としては、使うオペアンプの数や経路を変えているのではないかと思うのですが、はっきりとしたことはわかりません。

エレキベースをつないで弾いてみると、独特の揺れ感があってファンファン言う感じ。効果音のような使い方や演奏のバックで独立した音にエフェクトをかけるという使い方がすぐ思い浮かぶのですが、あえて揺れとテンポを合わせて楽曲そのものに活かすという使い方もありかもしれないと思いました。
#基板裏の半固定抵抗も気にはなりましたが、役割(使い方)がよくわからないうちはいじらないことにしました。