2022年12月27日火曜日

IchigoJamからの電気信号は簡易なシンセサイザー(SX-150)のOscillatorになるのか検証する

前回の続きです。IchigoJamのピンソケット(「SOUND」と「GND」)からパルス(矩形波)を出して、それを簡易なシンセサイザーに入れて音を変化させてみたいと思います。まずはGAKKENの「大人の科学」の別冊マガジン「シンセサイザー・クロニクル」に付録していた「SX-150」とその後継のSX-150 mark IIを使ってやってみます。回路図を見ると、外部入力(「EXT.SOURCE」か「LINE IN」)からVCF(Voltage Controlled Filter)につながっているようなので、IchigoJamからのパルスを変化させることができそうです。

ちょっとつまずいたのは、電池の問題でした。しばらく電池を使うものをいじっていなかったので、電池の在庫を切らしていました。普段は充電池や電源アダプタで事が足りるため、普通の電池を使っていません。SX-150も電源アダプタ駆動に改造しようかとも思っていたのですが、まだ手を付けていなかったので電池が必要です。試しに充電池で動くかどうかやってみたのですが、思うように音が出ません。普通の電池が1本当たり1.5 Vで、充電池は1.2 Vです。SX-150は4本の電池が必要なので、普通の電池では6 Vとなりますが、充電池では4.8 Vしかありません。アナログ・シンセサイザーは、電圧の違いが問題になることがあるので、電圧が足りないと音が不安定になります。(簡易なシンセサイザーなので、電源からの昇圧回路は含まれてないのだろうと推察します)取り急ぎ、近所の家電量販店で電池を調達してきました。これで無事に思った通りの音が出るようになりました。

ここまでで準備が整ったので、IchigoJamとSX-150をつないで音を出してみます。前回作ったケーブルをIchigoJamの「SOUND」と「GND」に挿して、ミニジャック側にTSケーブル(モノラルミニプラグ)を挿してSX-150につないだのですが、微妙に音が安定しません。しかも、音が聴こえてもかなり音量が低い状態です。このことから、IchigoJam側の出力が小さすぎて圧電スピーカーでは音が聴こえるけれど、SX-150のOscillatorとしては使えないことがわかりました。

次にできることとすれば、IchigoJamとSX-150の間に増幅(アンプ)回路を入れること。つまり、IchigoJamの出力信号を増幅させてSX-150に入力するということです。たまたま、「PAM8403(データシートのPDF)」というD級アンプICを積んだアンプモジュール(別の需要があってAmazonで購入していた)があったので、これを使ってみることにしました。IchigoJamからの電気信号をアンプに通してSX-150に入れるための道具を作りました。

気合を入れてがんばってみましたが、結論から言うとうまくいきませんでした。IchigoJamから「PLAY”C1”」で音を出しているときは、「ド」の音の電気信号が出ている感じなのですが、何の音も出していないときには別の電気が流れてしまうようで、ハウリングのような音がします。また、出ている音自体も、とぎれとぎれで何かが足りない感じです。これは、SX-150の「OUTPUT」にアンプ付きコンパクトスピーカー(YAZAWATVR35WH)をつないでも同じです。PAM8403のアンプモジュールの電源をIchigoJamの「VCC」と「GND」にしても同じでした。増幅が大きすぎるのかもしれません。となるとトランジスタで1石アンプでも作ってやった方が良いのかもしれません。もう少し時間がかかりそうです。

2022年12月17日土曜日

IchigoJamの音を増幅させる

以前の続きです。圧電スピーカーで音を鳴らすところまではできたものの、この音を増幅させるにはアンプにつながなければなりません。そこで、IchigoJamのピンソケット(「SOUND」と「GND」)にジャンプワイヤーのオスを挿してステレオミニピンジャックに変換するケーブルを自作しました。SOUNDがステレオになっていないので、LとRの両方をSOUNDにつなぐようにハンダ付けをしました。

これを使って電池駆動の簡易なアンプ付きコンパクトスピーカー(YAZAWATVR35WH)につないだところ、問題なくIchigoJamの音を増幅させることができました。また、ダイソーのUSB給電300円スピーカーにもつないでみましたが、こちらの方が大きな音量で鳴らすことができました。簡易なチューナー(MORRISというギターメーカーのクリップチューナー=CT-3)で測定すると、「PLAY”C”」は間違いなくCの音で、Dは少し高め、Eは少し低めに測定されました。これは、以前オシロスコープ(DSO 062)で測定した値と見比べると、納得できる結果です。
#「12平均律と周波数」を参考にしました。

ここまで来たら、次に考えるのは音色を変えることです。IchigoJamのパルス(矩形波)をOscillatorとして使えば、単に音楽の演奏だけでなく音そのもののを変えて表現のバリエーションを増やすことができると思います。IchigoJamをつなぐ楽器の候補がいくつかあるので、試してみたいと思います。

GAKKEN

KORG

2022年12月12日月曜日

IchigoJamの楽器としてのポテンシャルを確かめる〜IchigoJamから出せる電気信号

以前の続きです。DSO 062というオシロスコープを直したので、IchigoJamから音を出したときにどのような電気信号が出ているのかを調べてみることにします。今回使ったIchigoJamは、基板に圧電スピーカーが組み込まれたIchigoJam Sですが、別に用意した圧電スピーカーを「SOUND」と「GND」につないで、オシロスコープにつないだプローブの赤(+)を「SOUND」側に、黒(-)を「GND」側につないで測定しました。

まずは、Google先生に翻訳してもらったDSO 062の取扱説明書を見ながらオシロスコープの使い方を学びました。正直なところ何となくわかったようなわからないような状況で、とりあえず使ってみてどうなるのか確かめながらやってみることにしました。いろいろと設定をいじりながらやってみて、わかったことをまとめておきます。

〈DSO 062の設定〉

  • 「x1」(電圧値の倍率)…x5、x2、x1 から選択
  • 「1V」(測定する電圧値)…GND、1V、0.1V から選択 ※上の電圧値の倍率と組み合わせて使う
  • 「DC」(測定する電圧)…AC、DC、Freq から選択
  • 「1ms」(測定する時間)…0.5ns〜50ms から選択 ※選べる時間はいくつかの値に決められている

この設定でIchigoJamから「PLAY “C1”」でC(ド)の音を出すと、1v弱の電圧でパルスが出ているのがわかりました。(DSO 062の反応がイマイチなので、ちょっと長めに鳴らしてやらないとうまく表示されませんでした)正確な数値を測るのは難しいのですが、大体100Hzよりも大きいくらいかなといった感じでした。そこで、DSO 062の「DC」を「Freq」にして周波数を測定すると、”C”が131Hz、”D”が148Hz、”E”が164Hzあたりでパルスが出ていることがわかりました。
(より長く音を出して比べるために、「PLAY “C1C1C1 D1D1D1 E1E1E1”」として測定しました)

BEEPとPLAYで同じ音を探してみると、60と”C”、53と”D”、48と”E”が同じ周波数になる感じでした。ついでに楽器用のチューナーで調べてみようと思ったのですが、音が小さすぎて反応してくれませんでした。音を増幅する何かが必要なようです。

131Hzというのは、音楽的には「A(ラ)=440Hz」とした平均律の「C3」の音です。1オクターブ上の「C4」は、262Hzです。「PLAY “<C1>”」として1オクターブ上のC の音を出すと、オシロスコープでも262Hzになっていました。これはちょっと感動的です。本当は、小数のあるもう少し細かな数値のはずですが、DSO 062では測定できないので整数の範囲で良しとします。D(レ)の148Hzはちょっと高いかなといった感じでしたが、その1オクターブ上のDは、293Hz程度とそれほど高くないので、単純に整数倍しているわけではないのかなと思いました。このあたりの実装は、音によって調整されているのかもしれません。

ここまで来たら、次回は音を増幅させてスピーカーで鳴らしてみたいと思います。(道具を作らないとね)

 〈参考サイト〉