最近、吹奏楽器の中でも「笛」と呼ばれる形状の楽器にアンテナが高くなっています。もともと金管楽器の指導をしていた頃にも、より簡単に音が出る「笛」には興味があって、民族楽器的なものも含めて気になったものを買っていました。
#そう言えば、だいぶ昔に欲しくて欲しくて購入した「オカリナ」をすぐに落として割ってしまったかなり残念な記憶が蘇ってきました。orz
笛型の吹奏楽器の1つである「ウィンドシンセサイザー」は、私自身にとっても長年の憧れなのですが、価格の問題がブレーキになってなかなか手が出せずにおりました。もともとは「リリコン」と呼ばれた製品がありましたが、現在ではAKAIのEWI(Electronic Wind Instrument)シリーズが一番有名でしょうか。この分野は昔から一定の需要があるらしく、文字通り「息の長い」製品となっています。一方、「ブレス・コントローラー」というシンセサイザーの周辺機器的なものもあって、打鍵ではなく吹奏でシンセサイザーの音を鳴らす(鍵盤は音程を選ぶだけ)ことにも需要があるようです。(こちらは「鍵盤ハーモニカ」の電子版のようなイメージです)いずれにしても、費用対効果を考えるとなかなか手が出ず、齢ばかりを重ねていました。
そんな中、Amazonで「Electric Blowpipe」という、1万円を切る価格ながらリコーダーのように演奏ができる電子楽器を見つけて衝動買いしてしまいました。英語的にはあまり楽器らしくないネーミング(Blowpipe:「吹き矢」とか「火吹竹」のような道具の意味らしい)の中華製電子楽器です。パッケージには型番らしきものはなく、一番大きく書かれているのは「MADE IN CHINA」という文字で、購入の決め手はMIDIにも対応していると謳っていたことでした。
#中華製品あるあるですが、製造元だとか正式名称だとか型番だとかを探していると、同じような製品の情報が大量に出てきて収集がつかないのに肝心の知りたいことが全くわからない状況です。
パッケージの中に入っていたのは、本体と専用の布袋、シリコンマウスピース、説明書(英語)だけで非常にシンプルです。機能もかなりシンプルで、「音を出す」ということだけであれば、電源を入れて息を吹き込めば音が出ます。指使いもシンプルだし、吹奏による音量の変化もわかりやすいと思いました。意外に思ったのは、そこそこの重量があること。中華製品あるあるの「軽くてスカスカ」な感じはしません。筐体が金属でできているようなので、その重さがほとんどなのかもしれませんが、本物のリコーダーに比べたらかなりずっしりと重たいです。800mAhリチウムバッテリー内蔵なので、充電して使うことになります。
13の音色で演奏ができることになっていますが、音色リストは以下のとおりです。
〈Tone List〉
- 01 Alto Saxophone(アルトサックス)
- 02 Soprano Saxophone(ソプラノサックス)
- 03 Morin Khuur(モリンホール)
- 04 Clarinet(クラリネット)
- 05 Hulusi(フルス)
- 06 Trumpet(トランペット)
- 07 Suona(ソーナー)
- 08 Ocarina(オカリナ)
- 09 Flute(フルート)
- 10 Bamboo Flute(DIZI:ディジ)
- 11 Recorder(リコーダー)
- 12 Violin(バイオリン)
- 13 Erhu(アルフー:二胡)
音色のチョイスは独特なものを感じましたが、民族楽器も好きな方なので(再現性は確かめようがないものの)嫌いじゃないと思いました。肝心の演奏感としては、吹奏楽器として吹いた感じと音の出方(反応)には、違和感はありませんでした。運指への反応も悪くない。唇を締める圧力までは感知していないので、電子リコーダーと呼べばよいでしょうか。欲を言えば、両手の親指だけで楽器を支える状態になったとき、楽器自体が重くて落としてしまいそうになるので、首にかけるストラップのようなものがあったら安心して演奏できるかなと思いました。
もう一つ難点を言うと、裏面側の操作スイッチ(押しボタン)が直感的にわかりにくいこと。電源マークのボタン以外は、1〜9の数字が刻まれているボタンに機能が割り振られているのですが、簡易な説明書を読むまではそれぞれのボタンにどんな機能が割り振られているのかわかりません。2桁の7セグLEDで何かを表現しようとしているようなのですが、数字とアルファベット2文字の略語のような表現なので、割り振られている機能を理解していないと意味がわからないと思います。そもそも1〜9の数字が刻まれている意味がなく、何か別の製品のボタンを使い回している(だから安い)のではないかとさえ思ってしまいます。
とは言え、1万円以下でこのレベルの電子楽器が手に入ることにはちょっと驚きを感じました。まだMIDIのテストはしていませんが、どんなことができるのか、期待半分怖さ半分で試していきたいと思います。