2010年12月18日土曜日

フィンランドの教育をめぐって

数年前から注目されているフィンランドの教育に関して、そろそろ資料も出揃ってきた頃かなぁと思い、検証を始めることにしました。注目されている理由は、今さら確認するまでもないことですが、OECDPISAテストで日本などを抜いて好成績をあげていることにあります。
#最新の調査でもトップにいます。

巷で言われていることや教員の間でウワサ話のように広まっていることから考えると、フィンランドの教育は、十分注目に価すると思われます。しかし、世界的に見ても独特な文化を持つ日本では、フィンランドの教育方法をそのまま受け入れるのは不可能だろうと思っています。つまり、フィンランドの教育は、フィンランドだったからこそできたのであって、日本とは違うのだと考えられるのです。私たちがフィンランドの教育から何かを学ぶとき、制度やシステムを猿真似しても意味がありません。日本の教育において、フィンランドの教育からどのような要素を取り入れることができて、取り入れることができないことは何かを考えるために、虚飾やイデオロギーとは関係ない立場で書かれたものを読んでみたいと思いました。

そこで見つけたのが「受けてみたフィンランドの教育」でした。内容としては、教育関係者の視点よりも、高校生で留学した娘とその母親の体験記のような形で書かれていて、教育専門書とは趣が違います。そこがいい。日本的価値観に縛られていない感じだけど、それはあえて抗っているわけではないところもまたいい。文面や行動パターンから察すると、利発で向学心があって、普通の子とはちょっと違うけど、逸脱しすぎているわけではないから好感が持てる人だなぁと思いました。

何よりも、彼女がフィンランドの教育を受けながら、いろいろなことに気づいて成長していく様がとても興味深い。「フィンランドの教育を紹介しよう」という意図は、あまり強く感じられないのに、日本とフィンランドでは教育文化が大きく違うことがハッキリと見えてきます。さらに言えば、教育、学校、子ども、教師…など教育に関わるキーワードに対するイメージがことごとく違うと言っていいと思います。それは、どちらが良いとか悪いとかということではなく、「違う」のです。

本来、学ぶことで自在の境地を得るのであり、それは楽しいことだと言っていいはずです。わかったときの世界観の広がりは、他の何にも代えがたい快感だと思います。しかし、学ぶことが単に内容の丸暗記や作業スキルを向上させるだけのようになってしまうと、快感とは程遠くなるでしょう。せめて、学ぶことが苦にならない社会を目指していく必要がある気がしました。

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