2011年8月12日金曜日

古い文献に学ぶ

思いがけない方から、40年近く前に出版された本を頂きました。私が算数の研究をしていることを知って、「退職して要らなくなったから」と頂いたものです。そこに著者として名を連ねているのは、今も算数数学教育界の重鎮としてご活躍の先生方や既に伝説となっている先生方でした。当然のことながら、この本が私の手元にやって来たこと自体が稀有のこと。まだ、ざっとしか目を通していませんが、研究意欲が湧いてきています。

中でも目を引いたのが「発見学習」について書かれた一冊でした。ときは現代化の時代。算数数学教育に関する研究も盛んに行われたらしく、今でも有名な研究者が次々と引用されていました。著者は、行政のお立場でこれだけの研究をなさり、かつ本まで出版されるとは並々ならぬご苦労があっただろうと思います。一方で、それを許した時代的な背景を考えると、「いい時代だったんだなぁ」としみじみ思えてきます。

内容としては、今、言われているところの「問題解決学習」に近いのですが、「発見」と言うだけあって、子どもたちに数学的な原理を発見させることを目的とした学習スタイルが提示されています。驚いたことは、既に数学的表現として「式、図、表」を相互に表し直すというようなことが書かれていたことです。そして、話し合い活動も含まれています。今、世に出しても、古いとは言えないなぁと感じながら読んでいます。

これをきっかけに、私の手元にあった古い本や古い本の覆刻本を引っ張り出して読み始めました。時代は様々ですが、普遍的な課題がそこにある気がしています。今でも変わらない「学級経営のツボ」やその昔に提唱されていた「文章問題の系統性」について実践的に論じられている本もあり、まだまだ勉強すべきことはたくさんあるなぁと改めて感じました。

今、学校教育に足りないのは、「子どもの思考への理解」ではないかと感じています。子どもたちが考えていることを理解するのだけでなく、子どもとはこう考えるものであるということを理解するのです。そういうところから授業を作っていくような実践が必要だと思っています。
#本当は、教育課程自体も子どもの思考に添う内容と過程にする必要があると思っていますが、その話は後日に譲ることにして。

現場の一教員である私が、様々な研究をするには自ずから限界があります。同じ立場の教員に、「研究に没頭しろ」とは言えないと思いますし、「一緒にやろう」と言うのも難しい。しかし、ここは手を抜くところじゃないと思っていますし、これができないなら、他の仕事を削るべきだと思っています。

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