2025年1月25日土曜日

YAMAHA製 YDA138デジタルアンプとA100を聴き比べてみる

以前の続きです。前回は、電子楽器のモニタスピーカー用に使っていたXY-C50L(←YouTube動画)をYAMAHAYDA138(←Datasheet)デジタルアンプに置き換えたところまででした。今回は、これも以前の記事で紹介したYAMAHAの古いアンプ「A100」と聴き比べてみたいと思います。

電子楽器の方は、先日、ちょっと時間を作ってしばらく戯れてみたvolca modularとvolcaシリーズではじめに購入したvolca fm2をCV/Gate&MIDIキーボード(SWING)でコントロールしています。これらの電子楽器から出力される音を受けて、スピーカーに出力させていたYDA138デジタルアンプをA100に置き換えて聴き比べます。基本的なセッティングは、YDA138デジタルアンプで設定した状態のままにして、アンプだけをA100に入れ替えて使ってみます。
#スピーカーは、自作2 Wayスピーカーを使っています。

すぐに気づいたのは、音の歪(ビビリ?)が激しかったことです。先ほど紹介した以前のBlogにも書きましたが、A100の方が出力が大きいので小さなスピーカーでは力を出し切ることができません。volca modularのリバーブを切って音量を絞ればそれなりに聞ける状態にはなりますが、少し大きな音を出してしまうと途端にビリビリと音が歪んでしまいます。この状態では、実用的ではないと思いました。程よいセッティングを探して試行錯誤してみたところ、本体もしくはミキサーからの出力音量を少し大きくして、A100からの出力をできるだけ絞ってやると安定した音になることがわかってきました。それでも、音程によってはピンポイントで歪むところがありました。
#A100の電源を入れてからしばらくは、ボリュームを動かすとバリバリとノイズが入るのですが、しばらくするとノイズはしなくなりました。古いので仕方がないかもしれません。

肝心の音質ですが、A100の電源を入れただけでは全くの無音で、YDA138アンプキットと同じで電子楽器のモニタスピーカー用アンプとしては合格だと思いました。購入した当時は、それなりのお値段だったと思いますので、数千円で買える廉価帯のアンプと比べることの意味が問われそうですが、A100の方が様々な音が聴き取れるので、音の解像度は高いのだと思います。歪みさえなければモニタスピーカー用のアンプとしては申し分ないのですが、歪んでしまうのなら使えないのでA100をモニタスピーカー用のアンプとして使うのは断念しました。ということで、新しい楽器たちのモニタスピーカー用のアンプは、引き続きYDA138デジタルアンプを使うことにします。

A100の使い道ですが、ちょっと大きめのスピーカーユニットを使ってスピーカーシステムを組んでみて、A100で使えるかどうか実験してみたいと考えています。自宅で在庫しているフルレンジスピーカーは、10 cm前後のものが多く、それよりも小さいものはありますが大きなものは購入しないとありません。大きなスピーカーユニットは値段も高くなりますので、実験的に使うことを想定して購入するにしては、ちょっと勇気が必要です。中古販売店でも大きすぎるものは思ったより安いことはありますが、いわゆる6.5 inch(16 cm)クラスのものは人気もあるので値段が落ちず、手を出しにくい感じがしています。

せっかくなら、昔のステレオコンポで使われていたようなサイズのスピーカーを導入してみたいところですが、なにせ自室が狭いのでどうしたものかと頭を悩ませています。板材の在庫もそれなりにあるから、エンクロージャーから作ろうと思えば作れてしまうのですが…。

2025年1月19日日曜日

volca modularと戯れる

以前から愛用しているKORGvolcaシリーズですが、中でもvolca modularは、昔からの憧れだったアナログシンセサイザーをコンパクトに再現した入門機だと思っています。これを使いこなせたら楽しいだろうと思って購入しましたが、じっくり腰を据えてvolca modularと戯れて、アナログシンセの面白さを体験してみたいと思いつつ、時間貧乏な生活をしているのでなかなか実現させることができていませんでした。とは言え、いつまで待っても時間は生まれないので、とにかく始めてしまえと見切り発車してみます。
#余談ですが、私がシンセサイザーをいじりはじめた頃は、アナログからデジタルへの移行期で、YAMAHADX7が脚光を浴びている時期でした。
#当時の私の愛機は、RolandJUNO-106(←現在はSoftware Synthesizer)でした。

始める切っ掛けは、YouTubeで見つけたKORG EXPERIENCE LOUNGEの動画(「マシンライブへの脇道 ~君は volca modular と友達になれるか 編~【配信アーカイブ】」と「マシンライブへの脇道 ~君は volca modular と友達になれるか編~ 後編」)を観たことでした。今回はこれを参考にしながら、しばしvolca modularと戯れてみたいと思います。

使用する機材は、BehringerSWINGというCV/Gate&MIDI対応のキーボードを使ってvolca modularをコントロールします。つなぎ方は以前の記事でも紹介しているとおりです。おさらいをしておくと、SWING(キーボード)の「KB CV」出力と「Gate」出力をTRS(ステレオミニプラグ)に変換してvolca modularの「CV-IN」に接続します。ステレオミニプラグ⇔モノラルミニプラグLRケーブルを使って、「KB CV」出力をR(赤)側に、「Gate」出力をL(白)側につないで反対側のステレオミニプラグをvolca modularのCV-INにつなぎました。その信号は、すぐ左側にある2口のピンソケットから出力されて、音程を表す信号のCVは下側から、音のON/OFFを表す信号のGateは上側から出力されます。ここから何もつながないと、いくらキーボードの鍵盤を押しても音は出ません。CVを「SOURCE」の「pitch」につなぎ、Gateを「FUNCTIONS」の「gate」につないでようやくSWINGでvolca modularをコントロールして音が出せる状態になります。

準備作業はまだ続きます。コントロールできるようになったら、キャリブレーションという準備作業をする必要があります。毎度のことではありますが、「volca modular/CV入力のキャリブレーション方法」を参考にして準備作業を行いました。この後の音作りの作業のために、音量(VOLUME)以外のすべてのつまみを0にしておきます。作った音の設定などを保存しておく機能はないので、volca modularの「Supportダウンロード」のページから「ブランク・チャート」をダウンロードして、これに設定などを記録しておきます。昔、JUNO-106で作った音を保存したときも、チャートに書き込んでおくことはありました。それぞれの設定が数値として見えないので、各スイッチの位置で確認しておかないとどの設定をどの様に変更したかがわからなかったためです。
#キャリブレーションが終わった後、キーボードの「PITCH BEND」をいじると音程がずれてしまうことがあるようです。

ここから、しばし音作りに没頭しました。音の信号と制御の信号をどこにどのようにつなげるかを考えながら作業をしましたが、内部の配線とジャンプワイヤーでの配線とが頭の中で混乱してしまうことがあって、何度か「はじめからやり直し」となりました。それも含めて楽しく戯れることができました。完成したと言えるほどではないのですが、シンセブラス(低音)を作ってみたのでチャートにしておきました。

まだまだ使いこなせるようになったとは言えないので、時間を見つけて戯れてみたいと思います。それから、今回使ったキーボード(SWING)は、CV/GateとMIDIを同時に使うことができるので、手元にあるvolca modularとvolca fm2を同時にコントロールして音を出すことができることもわかりました。やってみたいことがどんどん湧いてきますね。(^^;;;

2025年1月11日土曜日

YAMAHA製 YDA138デジタルアンプ自作キットを組み立てる

以前の記事YAMAHAのA100という古のパワーアンプを直した話を書きましたが、そのときに、「YAMAHAのデジタルアンプキットを購入して…」というようなことを書きました。今回は、それを実現するという話です。YAMAHAのYDA138(←Datasheet)というデジタルアンプICを載せたキットを組み立てて、これまで使ってきたXY-C50L(←YouTube動画)やA100などのアンプたちとの聴き比べを計画しました。

今回購入したのは、ノースフラットジャパン(NFJ)で取り扱われている商品で、YAMAHAのYDA138を載せたデジタルアンプ自作キットです。Amazonで「YAMAHA製 YDA138 デジタルアンプ自作キット リターンズ 2024-2025 Ver.」と「専用アルミケースキット」として販売されていたものを一緒に購入しました。自作キット単体でも使うことはできますが、今後長く使うことを考えると筐体があった方が良いし、他にもいろいろとまとめて購入して送料を節約することもねらってまとめ買いをしました。

購入したキットを開封すると、同梱されていたのは基板や部品一式と部品表くらいなもので、組み立ての説明などは一切ありませんでした。つまり、初心者にはちょっとハードルが高いということで、ネットで情報を探しながら組立作業をすることをおすすめします。私は、部品表と基板のシルク印刷を頼りに部品を取り付けていくことにしましたが、Amazonの販売ページにある制作例写真やYouTubeで見つけたちょっと古い動画も参考にしながら組立作業を行いました。
あいはらの木 ものづくりチャンネルさんの「YAMAHA製 YDA138 デジタルアンプ自作キット リターンズ 2020-2021 Ver.の作り方解説と他アンプと音質の比較をする動画」を参考にしました。

組立手順は、作業効率を重視して、背の低い部品から取り付けるというセオリーに従ってはんだ付けを行いました。また、先に紹介した動画では「2020−2021 Ver.」を使っていましたが、今回購入したものは「2024-2025 Ver.」だったため、微妙に部品が違っていて戸惑うことがありました。ここで備忘を兼ねて注意点をまとめておきます。

  • コイルは、被覆によって巻き方向がわからない(向きがわかりそうな目印もない)ので向きは気にせずに取り付ける
    ※コイルの向きによって音質に変化があるという情報も見つけましたが、見えないものは仕方がありません。
  • CT5とCT6のコンデンサは、無極性のものになっていたので「+」記号は関係なく取り付けられる
    ※念の為に写真を見ながら同じ方向になるようにしておきましたが、逆でも問題ないはずです。
  • 専用アルミケースに入れるので、YDA138 デジタルアンプ自作キットに同梱されていた2Pのターミナルブロックは使わず、専用アルミケースキットに付属しているターミナルブロックを使う
    ※筐体にいれる際に、基板左右の縁にはんだ付けする部品のハンダの盛りが厚いとうまく入らないので、山盛りにならないようにしておく必要があります。

これを、専用アルミケースに入れて完成です。普段MacBook Proにつないで使っているXY-C50Lと入れ替えて、音楽や動画を再生して聴き比べてみました。普段遣いとしては、XY-C50Lで全く問題を感じていなかったのですが、YDA138キットに入れ替えると音の再現性が向上するというか、聴こえる音の種類が増える感じがしました。それでいて、ガチャガチャした感じではなくて、それぞれの音が役割をもって聴こえるので、楽曲のハーモニーを形成する音の要素がより鮮明に見えてくるように感じました。XY-C50Lが半完成品(アクリルの板で挟んでボリュームキャップを付ける)で約1,300円程度、YDA138キットが自分で組み立てて約3,000円程度なので、倍以上の差があります。とは言え、何万もするものではなくこの廉価帯のアンプですからそれほど大きな差が出るとは思えず、YDA138キットのコストパフォーマンスの良さを感じることができました。

さて、ここまでやってきて、このYDA138のパワーアンプの使い道としては、新しい電子楽器たちのモニタスピーカー用のパワーアンプとして使ってはどうかと考えました。つい先日、新しい電子楽器たちのモニタスピーカーとして、XY-C50Lと自作2 Wayスピーカーの組み合わせを採用したばかりでしたが、今回購入したYDA138のキットの音が想像以上だったので、パワーアンプを置き換えてみました。すると、予想通りノイズもほぼなしで音の再現性も高く理想的な環境ができあがりました。

さて、もう一つのA100についてですが、長くなってしまったので次回以降にしたいと思います。

2025年1月1日水曜日

電子楽器用として使っているPC用スピーカーと自作スピーカーを聴き比べてみる

以前紹介した自作2 Wayスピーカーについて、作成したときに試聴したところ素直な音が出ている感じがしたので、最近購入している電子楽器用のモニタスピーカーとして使ってみてはどうかと思っていました。その後、自室の様々な音楽・楽器の環境をいろいろといじっている中で、そろそろこの課題にも取り組んでみようかと、重い腰を上げることにしました。

今回の音源となる電子楽器たちは、ここ数年で少しずつ購入して新しくシステムを作っている電子楽器たちで、KORGVolcaシリーズBehringerRD-6TD-3などです。元々これらの電子楽器たち用のモニタスピーカーとしては、Logicoolのスピーカー(Z150←ロゴなどが違う新モデル=展示品扱いで安売りしていたものだったような…)を使っていました。特に問題を感じるところはないのですが、そもそもこのスピーカーはPC用のもの(電子楽器との相性は悪くないと思いますが)です。これと自作2 Wayスピーカーとを聴き比べてみたらどんな違いがあるのか(それほどでもないのか)試してみたいと思います。

これらの新しく購入した電子楽器たちは、古くから所有している電子楽器たちに比べてかなり安価なものです。(昔欲しかったものと似たようなものが、今は安価に手に入るようになったと喜ぶべきなのか、昔の方が趣味にお金をかけられたのにと嘆くべきなのか…)それに合わせて、今回使う自作2 Wayスピーカーだけでなく、ミキサーやアンプも手頃な価格で購入できるもので揃えていきます。

ミキサーは、AU-401(←公式サイトは見つからず、Google先生に聞くといろいろ出てきます)という、4 in 1 outのステレオミキサーを使うことにします。このミキサーは、3.5mmのTRSソケットを4系統備えていて、それぞれのステレオ入力をMixして1系統にしてステレオ出力するものです。複数のヘッドホン(ステレオ)出力を1つにまとめて、TRSケーブルの差し替えをせずに1つのヘッドホンで聴きたいというようなときに使うためのものだと思います。本体はとても小さく、入力側の音量調節ボリュームはついていますが、出力側にメインOUTのようなボリュームはついておらず、必要最小限の簡素な作りになっています。これはAmazonで約1.9千円で購入しました。

アンプとしては、これまでもに使っていたXINYI Sini Audio(XY-C50LYouTubeの動画)が手頃で使いやすくて音も悪くないことから、もう1台購入して電子楽器用のモニタスピーカーのアンプとして使ってみることにしました。このアンプは、AUX(TRS)入力だけでなく、Bluetooth入力とUSB AUDIOにも対応しているデジタルアンプです。現在でもAmazonで約1.3千円くらいで購入することができます。いろいろなところで取り扱いがあって、中華製品あるあるで謳っている仕様がバラバラなのですが、およその仕様は以下のとおりのようです。

〈XY-C50L(AP3050DアンプIC内蔵)〉

  • 電源:DC 8〜26 V
  • オーディオ入力:Bluetooth+AUX+USBドライブ+USBサウンドカード
  • 音量調節:エンコーダ360度無制限同調(押すことで入力モードを変更できる)
  • オーディオ出力:ターミナルコネクタ(端子台)+3.5 mmTRS
  • 出力:50 W*2
  • インピーダンス:4〜8 Ω

スピーカーの聴き比べをしてみると、自作2 Wayの方が音の響きがよく感じられました。スピーカーユニットやエンクロージャーの大きさも違うし、自作2 Wayの方はツイーターも入っているし当然と言えば当然です。

問題は、高周波のノイズが乗っていて、電子楽器からの音に干渉してさらにノイズが広がることでした。接続を見直したり抜き差ししたりして確かめましたが、ミキサーを介さずに電子楽器単体でアンプに直接つなぐとノイズが発生しないため、安物のミキサー(AU-401)がダメなのかと思いました。

しかし、ミキサーに1つの電子楽器だけを接続するとノイズが消えることと、AC-DC電源アダプタからの給電を1つの電子楽器だけにしてもノイズが消えることから、1つのAC-DC電源アダプタから3つの電子楽器に給電しているDC-HUB(1入力4出力)を使っていることが原因だということがわかってきました。DC-HUBと電子楽器とミキサーの間で、いわゆるグランドループが発生していて、発振してしまっているということです。

そこで、最近購入して試用だけしていた「グランドループアイソレーター」を電子楽器とミキサーの間に入れてつないでみたところ、発振がなくなって問題なく音が出るようになりました。どこでループが発生しているかを特定して、その中にアイソレーターをいれることで劇的に変化するということを知りました。複数のループが発生している場合は特定が難しいかもしれませんが、考え方が理解できてよい勉強になりました。