2024年9月15日日曜日

自作2 Wayスピーカーと改造DAISO 300円スピーカーを聴き比べてみる〜サブウーファーを添えて

以前の続きです。自作2 Wayスピーカーとの比較対象として、改造DAISO 300円スピーカーとの聴き比べをやってみたいと思います。アンプは、改造DAISO 300円スピーカーを紹介したときにも使っていたXINYI Sini Audio(←YouTube動画=XY-C50L)を使いました。

オリジナルDAISO 300円スピーカーは、バランスは良いものの低音の響きが弱く、音楽視聴向きではないと思いました。これを改造することにして、大きめのエンクロージャーに入れてバスレフポートを付けたところ、低音もそこそこ鳴るようになり、音楽を聴いてもよいと思えるスピーカーになりました。しかし、スピーカーとしてのバランスが良いかというとそうでもなく、ボーカルと楽器の音域が近くなるとボーカルが奥に引っ込んだような聴こえ方になってしまいます。アナウンスなどの声は問題がないので、用途によって「よいスピーカー」の条件は違うのだと思いました。

自作2 Wayスピーカーの方は、ツイーターがあることもあってか音の輪郭がはっきり聴こえるようなスピーカーに仕上がりました。すぐに気づいたのは、電源を入れたときのノイズの少なさです。アンプに電源が入っていないのかと思うくらい静かで、改造DAISO 300円スピーカーとは大きく違うと思いました。様々な曲を試聴してみると、ボーカルもしっかり出てくれるし、高音から低音までよく響いてくれて十分満足できるスピーカーになりました。特に低音の響きはとても気持ちが良く、電子楽器のモニタスピーカーとして楽器音を直接聴くことに使いたいくらいだと思いました。

一方で、よく響くのでアナウンスを聴くと「ライブ感」が出すぎてしまってちょっと疲れるかもしれません。これは完全に好みの問題ですが、音楽視聴や映画鑑賞ならよいと思うのですが、臨場感を必要としないときはむしろオリジナルDAISO 300円スピーカーの方が良いように思いました。

聴き比べをしているうちに、改造DAISO 300円スピーカーにサブウーファーを加えてみたらどうなるのか試してみたくなってきました。そこで、これも以前に紹介したZK-MT21(←YouTube動画=Bluetooth対応2.1chパワーアンプ)を使って、自作2 Wayスピーカーと改造DAISO 300円スピーカーをそれぞれサブウーファーを入れて視聴してみることにしました。とは言え、手元にはウーファー用のスピーカーユニットがありません。そこで、フルレンジのスピーカーユニットをウーファーのように使うことができないか試してみることにしました。今回試用したものは、秋月電子通商で購入した「DXYD104W-60P-8A-F」という8Ωのスピーカーユニットです。エンクロージャーは、DAISOで購入した500mL程度のマスのような箱で作って、それにスピーカーを入れただけの簡易なものにしました。

アンプ自体の特性も違うと思いますが、改造DAISO 300円との組み合わせだと音に奥行きが感じられるようになり、ボーカルと楽器の音域かぶりの問題は大きくは解消されていないものの、特に低音域の響きが良くなって音楽が気持ちよく聴けるようになりました。ついでに、自作2 Wayスピーカーの方でもサブウーファーを入れてみました。先ほどと同じアンプ(ZK-MT21)を使っているのに、音の奥行き感については改造DAISO 300円よりかなり少なく、音源が近くに感じるような印象でした。やはりスピーカーは面白い。

以前に中古で購入したアンプ内蔵のウーファー付きスピーカーに比べてると、今回試した各スピーカー+サブウーファーでは、遅延を感じることがなくて安心して聴くことができました。ここまで来ると、ウーファー用のスピーカーユニットを使ったらどうなるのか気になってきました。まだまだ沼が続きそうです。

2024年9月7日土曜日

バスレフポート付2 Wayスピーカー(エンクロージャ)を設計から作ってみる

これまで、アンプを含めて安価にスピーカーを作ることに取り組んできたところですが、密閉式やバスレフポート付のものを作るくらいだったため、そろそろ2 Way方式のスピーカーを作ってみたいと思うようになっていました。(これ以上スピーカーを増やしてどうする?というツッコミはなしで)

とは言え、低音をカットして高音のみ通す(ハイパスフィルタの)役割をもつコンデンサと高音をカットして低音のみ通す(ローパスフィルタの)役割をもつコイルの組み合わせをどのようにしたら良いか、カットする周波数を決めたりスピーカーのインピーダンスによる違いを計算に入れて部品選定をしたりしなければなりません。また、コンデンサやコイル自体の性能によっても音が変わると聞いて、初心者としてはなかなかハードルが高くて何をどう選んだら良いか思案していました。

そんな折、Amazonで2 Wayスピーカー用の周波数分割器(クロスオーバーフィルター)のユニットが販売されていた(←現在は海外から発送されるものしかなかったので紹介は控えます)ので早速購入してみました。
#Amazonの商品ページには、「電力:80W以下、インピーダンス:4-8Ω、クロスオーバー周波数:3200Hz」と謳われていました。正確なのかはわかりませんが。

ツイーターにするスピーカーは、同じくAmazonで車載用と謳われていた約40mmのもの(「TS-T120」という型番になっていました)を使うことにしました。インピーダンスは4Ωです。中低音域は、60mmのフルレンジスピーカーを使うことにしました。こちらも、インピーダンスは4Ωです。どちらも、uxcellで取り扱われている商品で、値段が気に入って購入したので詳細不明なところが多く、つないで音を出すまではどんなものになるのかわからないという感じです。これに、バスレフポートをつけることにして、エンクロージャーを設計してみます。

材料は、たまたま立ち寄ったSeriaで購入した焼き目付の板材を中心に、自宅に在庫していた板材を使うことにしました。円形の穴を開ける数が多くなり、強度の問題も考慮に入れながら大きさや穴位置を考えて作っていきました。とは言え、それほど厳密なものではなく、ざっくりラフに考えて作りながら修正するといういきあたりばったりな作業になりました。と言うのも、安い板材を使っている関係で寸法精度に問題があり、そもそも設計通りに作ることはできなかったのです。資金に余裕があるのなら、DIYショップ等で寸法通りの板材を購入して、設計通りに切ってもらってパーツを用意した方がよいのかもしれません。
#トライ&エラーを繰り返して徐々に自分の腕を上げていくのも、素人DIYの面白さではありますが…。

円形の穴は、ホールソーと自在錐(フリーカッター)を利用して開けましたが、ホールソーはサイズが決まっているため少し小さめの刃を利用して穴を開けて、ファイルソーで穴を広げてヤスリで形を整えるという方法にしました。ちょっと苦労したのは、周波数分割器の部品の高さが穴経よりも高くて、どうしても円では入らない状態になっていたことです。単純な設計ミスなのか、そのために安くなっていたのか(今はちょっと値上がりしているようですが…)といったところです。仕方なく穴を削ることにしましたが、できるだけ穴を大きくしない方向で調整をして何とか見栄えを悪くしないように収めることができるようにしました。

組み立て途中で軽く配線して動作確認をしましたが、ツイーターの高音がスカスカな感じがしました。今回使ったツイーターには、50V4.7μFの電解コンデンサがはじめからついています。一方、周波数分割器には、100V6.8μFの電解コンデンサがついています。ツイーター側の4.7μFの電解コンデンサをパスして音を鳴らすとバランスがよい感じになった(個人の感想です)ので、ツイーターについていたコンデンサを取り外すことにしました。その後、配線をしたり吸音材(フェルト)を貼ったりして組み立てました。でき上がりはこんな感じになりました。

これまで作ってきたものの中では一番大きなものになりました。これ以上になってくると流石に置くところもなくなってくるので、今後のエンクロージャーづくりについて考えないといけないかなと思い始めています。

2024年9月1日日曜日

タイマーIC(555)をディスクリート部品で作ってみる

多くの方にとって何のことかわからないとは思うのですが、電子工作をやっているとよく名前を聞くタイマーICで「(NE)555(←Texas Instruments)」というICがあります。資料によると、1971年設計とあるのでかなり古くからあるICではあるのですが、今でも入手できるほどロングセラーなICです。これを、ディスクリート(単体)部品だけで作るキット(Evil Mad Scientistの「Three Fives」)があって、いつかは作ってみたいと思ったまま年月が過ぎていたのでした。
#Evil Mad Scientist社は、Bantam Tools社に買収されたようです。

その555のディスクリート基板共立電子産業が作っていると知って、たまらず購入してしまいました。前出の「Three Fives」とは設計が違いますが、目指すところは同じです。アメリカから個人で購入すると送料を含めてかなりのお値段になってしまいますが、国内でリーズナブルに入手できるとあっては、買わないという選択肢が思い浮かびませんでした。とは言え、いざ作るとなると部品点数が多いのでしっかり腰を据えて取り組まなければなりません。夏休みを待って時間に余裕ができたところで作り始めました。
#部品点数は多いものの技術的に難しい表面実装部品はまったくなく、組立説明書を見ながら地道にやっていけば問題なくできると思います。

最後にアクリルのカバーをつけるのですが、どうもうまくはまりません。よく確認すると、部品のサイズが違うものが1つ混じっていて、収まりが悪い状態でした。販売元に確認すると、お店のお盆休み明けに部品を送っていただけるとの連絡があり、後日無事に正しい部品を送っていただきました。(感謝!)ということで何とか夏休み中に完成させることができました。

次に、でき上がった555の動作確認をすることにします。だいぶ以前に555で簡単なテルミンのような楽器を作った記憶があったので、今回はそれを再現したいと思います。555の他に電源や抵抗、コンデンサ、ピエゾスピーカーが必要ということで、自室の電子部品ストック(新品ではなく廃品から使えそうな部品だけ取っておいたもの)などから探し出して回路を組んでみました。使ったものは以下のとおりです。
#部品や回路などは、AUTO Instructablesの「Theremin: an Electronic Odyssey [on 555 Timer IC ] *(Tinkercad)」を参考にしました。
※英語なのでGoogle先生に翻訳してもらいました。(^^;;;

  • 9V 006P電池
  • 抵抗10kΩ(茶黒橙金)
  • セラミックコンデンサ0.1μF(104)
  • CdSセル1MΩ
  • ピエゾスピーカー

電源を入れると、無事に音が出ました。CdSセルに手をかざして光を遮ると音程が低くなりました。これはなかなか感動しますね。実際の555のICチップは1立方cmの中に収まる程度の小さなものなので、わざわざその何倍もの大きさになるものを自分で作るというのはマニアックな趣味であることは自覚するところではあります。でも、こうしたことを通して様々なことに気づき、ICの構造や実際の働きを理解することは、とても重要なことではないかと思います。常々感じていることではありますが、「作ることで仕組みを理解する」というプロセスは、例えば「計算機」を作ることで計算の仕組みを理解するとか、「三角定規」を作ることで三角定規の役割や意味を学ぶというようなことにつながると思っています。