2024年12月21日土曜日

骨董品のようなYAMAHAのアンプ(A100)の修理を試みる

以前に紹介して、使用中に音が出にくくなったので、「古いものだから処分しようか…」とか「修理を試みてみようか…」とかと逡巡しながら、結局放置してしまっていたYAMAHAのA100(←資料なし)というパワーアンプについて、隙間な時間を使って少しずつ修理を試みたという話です。とは言え、古い音響機器をどれだけいじれるかはわからないので、できるだけ簡単な作業で直ってくれたらありがたいと思いながら、少しずつやってきたことをまとめておきたいと思います。

まずは筐体の上面カバーを取り外して中の状況を眺めてみました。基板上にはホコリがそれなりに付着しているものの、箱に入れていた期間が長かったためかそこまでひどく汚れているとは感じませんでした。次に、電解コンデンサが膨らんでいないかとか、液漏れしていないかとかということを確認してみました。こちらも特に問題は感じられないくらいにはきれいな状態で、なぜ不具合が生じたのかがわからないくらいでした。ここで一瞬「基板を外して全バラしなければダメかな…」とも思ったのですが、ダメ元で「洗浄」を試みることにしました。

実は、YouTubeなどでPCのマザーボードなどを修理する際に、「水洗い」してよく乾燥させると復活することがあるという話を聞いていました。今回は、これをやってみようと思ったのです。ただ、電気を流すものに水をかけること自体が精神的に抵抗を感じます。そこで、高圧洗浄機ほど強くはないけれどジョーロほど弱くない程度の強さのシャワーで洗って、ある程度水を切ったところで呉工業(KURE)のエレクトロニッククリーナーで洗浄することにしました。さらに、乾燥させると同時に2-26で残った水分を飛ばしながら接点復活を図りました。見た目はかなりきれいになりましたし、分解せずにできることはこの程度かなと。あとはしっかり乾かす作業です。(時の流れに身を任せるだけです)

さて、この機会にA100の中身を確認してみます。見える範囲で使われているICなどを確認してみました。型番などがわかった部品は以下のとおりです。

  • IC1…BA4558Rohm デュアルオペアンプ)
  • IC2…(μP)C1237HANEC ステレオパワーアンプ用プロテクタIC)
  • Q101とQ201…(2S)C3421TOSHIBA NPNエピタキシャルトランジスタ=バイポーラトランジスタ)
  • Q102とQ202…(2S)C4386サンケン電気(SK) NPNトリプル拡散プレーナートランジスタ)
  • Q103とQ203…(2S)A1671(サンケン電気(SK) PNP パワートランジスタ)
  • 電源トランス…TKK SP-66988-P OKM(←詳細不明)

いろいろなメーカーから部品を調達していたことがわかって、当時の設計意図を知りたくなりました。今は、1チップのデジタルパワーアンプICがあるので、そのうちYAMAHAのデジタルアンプICを載せたパワーアンプキットを購入して、聴き比べをしてみたいと思いました。

ということで、洗浄を終えて筐体の上面カバーを戻して、緊張の動作確認をしてみます。一度思い切り水を浴びせていますので、ショートしてスパークしても対応できるように(!)、屋外で作業をしました。(真似する場合は、自己責任&よく調べてからやるようにしてください)結果としては、問題なく音が出るようになりました。
#動作確認中に音の出方が不安定になることがあったのですが、使ったケーブルが悪かったようで、TRSジャック部分を切断して新しいものにつけ直しをしたら問題はなくなりました。

それよりも、実験をしている狭い自室では、A100の出力インジケーターの針がほとんど動かない程度にしか音量を上げられず、完全にオーバースペックなのが辛いところです。楽器用のパワーアンプなので音の再現性も高く、買ったときから気に入っていたことを思い出しました。せっかくなら、大きな音で立派なスピーカーで鳴らしてやりたいとは思うのですが…。
#今回使ったスピーカーは、以前紹介した実験用の2 Wayスピーカーです。

ということで、修理と言えるほどのことはしていませんが、何とか使える状態にまでは戻すことができました。このA100は、小さなライブハウスで演奏するくらいの使い方であればまだまだ現役で使えるのではないかと思います。(演る予定は全くありません。キリッ)

2024年12月14日土曜日

7.1 ch出力対応を謳ったICUSBAUDIO7D(USB-DAC)でスピーカーシステムを組んでみる

これまで、2.1 chアンプ(ZK-MT21YouTube動画)を使って左右スピーカーとサブウーファーの構成でいろいろな実験的なことをしてきましたが、自作スピーカーの数も多くなってきたのでもっと多くのスピーカーを同時に鳴らすシステムを組めないものかと思い始めました。そんなことを考えながらいつものようにAmazonを徘徊していると、StarTech.comというメーカー(「Made in Malaysia」と書いてありました)が販売している「ICUSBAUDIO7D」という7.1 ch出力対応のUSB-DACを見つけました。価格も安くて試してみたいと思ったのですが、対応OSはWindowsだけとのことで、しばらく悩んだ末に結局買ってみることにしました。
#自室で使っているPCは、MacとLinuxしかありません。このUSB-DACが動けばお買い得ですが、動かなければ…。これを「人柱精神」と呼んでいただければ幸に存じます。

届いた製品には英語のマニュアルが同梱されていました。使い方はそこまで難しくなさそうですが、7.1 chに挑戦すること自体が初めてなので念の為にネットで情報を探していると、StarTech.comのサポートサイトに日本語のマニュアル(←PDF)があったのでこれをダウンロードして使い方を確認しました。

購入前にわかっていたことですが、ICUSBAUDIO7Dにはパワーアンプが内蔵されていません。各出力にパワーアンプを接続するか、多チャンネル対応のパワーアンプを購入するかして、USB-DAC→パワーアンプ→スピーカーの順につなげる必要があります。別の方法としては、パワーアンプ内臓のスピーカーを複数台用意すれば使えることになりますが、私が作っている自作スピーカーは、パワーアンプを別に用意しているので、すでに複数台のパワーアンプがあります。問題は、電源や信号線などの配線が、どうしても複雑になってしまうことでした。

いろいろと問題を感じつつ届いたICUSBAUDIO7Dを試してみます。はじめにやったことは、MacBook Proとの接続です。付属のUSBケーブルで接続するとそのままUSB-DACとして認識されて、サウンドの出力デバイスとしては「USB Sound Device」として認識されました。この状態でICUSBAUDIO7Dのヘッドホンジャックにヘッドホンを挿して音楽を流してみましたが、まったく音が出ませんでした。

ならばと思い「FRONT」と書かれた出力ジャックにパワーアンプ+スピーカーをつなぐと、音声信号が出ていてスピーカーから音が聴こえました。これで、普通のUSB-DACとしては使えることがわかりました。続いて、他の出力ジャックを試してみましたが、全く何の反応もなく音声信号が出力されていないようでした。「サウンド設定」を開いても、ICUSBAUDIO7Dからの出力について特に設定できる項目が増えることもなく、入力デバイスにLine入力やMic入力、デジタル入力などの項目が増えているものの、出力側は「USB Sound Device」1つだけでそれ以外の設定変更はできないようでした。macOSでは、ICUSBAUDIO7Dは7.1 chで動作しないことがわかりました。

ならばLinux Mintで動かしている自作PCにつないだらどうだろうかと思ってつないでみたところ、「サウンドの設定」の中にデバイスとして認識されて、USB-DACとして使えるようになりました。ここまでは、MacBook Proと同じです。さらに「サウンドの設定」を詳しくみていくと、デジタルとアナログの出力(「CM106 Like Sound Device」となっている)の設定ができるようになって、「アナログステレオ出力 ▼」から5.1 chや7.1 chが選べるようになりました。全く期待をしていなかったので、興奮しながらいろいろと試してみました。結果として、5.1 chを選ぶとICUSBAUDIO7Dの「SURROUND」や「CENTER/BASS」からも音声信号が出力されて、7.1 chを選ぶと、さらに「BACK」からも音声信号が出力されるようになりました。(ただでさえ狭い部屋の中がすごいことになってしまったので、写真は残していません)
#すごいな!Linux Mint!感動した!

「サウンドの設定」の画面をスクショしたので貼っておきます。

この自作PCでDVDやBlu-rayを再生して、映画を観たり音楽を聴いたりすることがあるのですが、ICUSBAUDIO7Dを使うと7.1 chスピーカーシステムで映画を鑑賞することができるということになります。(部屋が狭いから現実的ではありませんが…)さらには、自作HTPCのようなコンパクトなPCを作って、リビングの大きなテレビ画面+7.1 chサウンドで映画を鑑賞することも可能ということになると思います。(夢のようだ!)\(^^)/

2024年12月7日土曜日

「使用中止」と発表されたRolandのMA-4の再生?に挑戦する〜筐体に収めて完成させる

前回の続きです。Rolandの電子楽器用モニタスピーカー(MA-4)のスピーカーユニットを再生する計画で、PAM8403(←Datasheet)アンプICを載せたパワーアンプ(GF1002←メインアンプ)モジュールと、NE5532アンプICを載せたプリアンプ(XH-A901というものらしい←YouTubeで接続方法の解説がありました)モジュールを組み合わせて、プリメインアンプを作るところからです。

これらのアンプモジュールを動かすために、以前にも使ったことがあるMT3608(←Datasheet)というDC-DCコンバータICを載せた電源モジュールを使います。USB給電で5Vを印加して、テスターで測定しながら12V程度に昇圧してNE5532のプリアンプモジュールへ印加します。同時にUSB給電の5Vが「VIN+」と「VIN-」にもそのまま出ていたので、これをPAM8403のパワーアンプモジュールにつないで印加します。これで、電源モジュール一つで2つのアンプモジュールを動かすことができるはずです。
#この使い方が正しいかどうかは無保証なので真似をされる場合は自己責任でお願いします。

ここまでで、スピーカーから音が出るか確認をしてみました。すると、聞き覚えのある高音のノイズが聞こえました。以前と同様に、またMT3608のDC-DCコンバータICモジュールからの発振だろうと思ったので、ポテンショメータを回して電圧の調節をすることにしました。今回は、電圧を上げていくと発振ノイズがどんどん低音になっていって、スピーカーから唸るような音が出るようになってしまいました。

そこで、電圧を下げていって発振ノイズをどんどん高音にしていきました。テスターで測定しながら、だいたい8V辺りで発振ノイズが聞こえなくなりました。(もしかするとモスキート音がしているのかもしれませんが…)今回使っているプリアンプモジュールは、本来12〜24Vの範囲で動作することになっているのですが、8Vでも音が出ているのでとりあえずよしとすることにします。
#念のために、DC-DCコンバータICモジュールとプリアンプモジュールをつないでいる導線にフェライトコアを取り付けておきました。

これでプリメインアンプは完成ということにして、DAISOで購入しておいた枡形の適当な箱に詰めてみました。

最後に、MA-4のスピーカーユニットを入れる筐体をどうするか考えます。筐体(エンクロージャー)として、MA-4のものをそのまま使ってみることも考えたのですが、試行錯誤の末断念。そこで、仕事帰りにたまたま立ち寄ったいつものHARD OFFでメーカーのよくわからないスピーカー(ジャンク扱いの左右セットで550円)を見つけたので、これに入れることにしました。
#このジャンクスピーカーの中に入っていた12cmくらいの4Ωのスピーカーユニットは、磁石の周りの金属の錆が酷かったため、使い回すのを諦めました。

このジャンクスピーカーは、スピーカーユニットがサランネットに直接ビス止めされていて、バッフル板がありませんでした。サランネットからスピーカーユニットを外して箱だけを使うことにして、在庫していた木板でバッフル板を作ってMA-4のスピーカーユニットを固定しました。これを、ジャンクスピーカー筐体に固定し、合わせて筐体の背面にスピーカーターミナルを取り付けて、スピーカーユニットと内部配線しました。

ということで、MA-4改が出来上がりました。(オリジナルの部品は、スピーカーユニットだけですけどね)もともとフルレンジのスピーカーユニットにバスレフポートが付いただけのモニタスピーカーだったので、ジャンクスピーカーの筐体に付いていたバスレフポートをそのまま使いました。
#元のMA-4のバスレフポートは前面にありましたが、今回のものは背面にあります。

プリアンプを入れているためか、調節によってはフルレンジ1つで鳴らしているとは思えないくらい低音から高音までしっかり鳴ってくれている印象です。数時間鳴らしてみて(エイジングと接続に問題がないか確認しました)特に問題はなさそうなので、古い電子楽器たちのモニタスピーカーとして活躍してもらう予定です。

(もともとジャンクスピーカーに付いていたサランネットは、きれいに洗浄したものの、このスピーカーにつけると見栄えが悪い感じがしたので外したままで使うことにしました。)

【過去記事】「使用中止」と発表されたRolandのMA-4の再生?に挑戦する〜まずは下準