2025年2月17日月曜日

Raspberry Pi 5と歴代Raspberry Piの使い道を考える

前回の続きです。約1年前に重い腰を上げて歴代RPiのメンテナンスを行いましたが、Raspberry Pi 5を購入してセットアップしたことをきっかけに、過去のRaspberry Pi(RPi)たちでも快適に使える状態を維持するにはどうしたらよいか考えてみました。Scratch 3などのビジュアルプログラミング環境を活用したい場合には、過去のRPiではかなり重くなりますので新しいRPi 5の出番だと思います。しかし、世代に合わせたOSを入れて、軽い作業のみをするか単一の機能に絞り込むかといった工夫をすれば、まだまだ使い道があるように思います。

以前のメンテナンスの際に歴代RPiで使っているOSを確認しましたが、RPi初代とRPi+はあえて古いOSを残す(ソフトの動作確認や作った環境をキープするため)として、RPi 2以降は新しいOSにしてしまって良いと思っています。中でも、3台もあるRPi 3にはしっかり仕事をしてもらおうかなと。ということで、歴代RPiのメンテナンスをサクッと終わらせて、3台のRPi 3のうち1台を実験台にすることにして、OSのインストールからやってみることにしました。

いつものように、Raspberry Pi Imagerを使って、microSDカードに最新のOSを入れます。Recommendに従って、64 bitのOSを入れることにしました。起動microSDカードをRPi 3に挿して起動すると、思ったよりスムーズに起動してくれて過去のRPiでも快適に動作するような調整がされているのかもしれないと思いました。「$ lsb_release -a」コマンドでOSのバージョンを表示させると「Debian GNU/Linux 12 (bookworm)」となっていました。RPi 5のときと同じように、表示を英語表記から日本語表記に設定して、指示に従って再起動しました。次に、この実験台RPi 3に以下のソフトをインストールしました。

〈「Recommended Software」より〉

〈「Add / Remove Software」より〉

実のところ、RPi 3で最新の64 bitOSがまともに動くとは思っていなかったのですが、しっかり動いてくれたのでちょっと感動してしまいました。職場でデジタルサイネージによる情報発信を考えているのですが、RPiならうってつけだと思っています。(以前の職場でも同じような取り組みをしていたので)私がいる間は、私物のRPi持ち込み(ネット接続は不可)でやってみるという手もあるかなと思っています。その他にも、どんな使い方ができるか考えてみたいと思います。
#5V 3AのUSB電源を使っても、「Low voltage warning」が出てしまうのは、どうしたものかと思っています。

(本当は、Raspberry Pi Zeroの方が、安いし用途を絞って使うには良いと思うのだけど、学校予算で買ってしまったら引き続き使ってもらうのは難しいかもしれないし、後任の負担になるようなことはしたくないし…。一方で、この程度のものを使いこなせないというのも情けないとは思うし、でもそれを強要するのは違うとも思うし…)

2025年2月8日土曜日

Raspberry Pi 5を使ってみる

世界的なインフレ傾向や円安の影響もあってか、価格が上がって気軽に購入できない感じになっているRaspberry Pi 5でしたが、ほぼ全世代のRaspberry Pi(RPi)を購入している私としては逡巡する気持ちもありつつ、発売開始から供給が安定するまでしばらく待っていました。先日、我慢の限界に足して半分衝動的に購入してしまいました。購入したのは、コスパ重視で4 GBモデルにしましたが、Smrazaのアルミのヒートシンク兼ケースと5.1V-5.0A対応のACアダプターも一緒に購入して1.4万円程度でした。(ケースは割引がありました)
#詳しくは、過去のRaspberry Pi関連記事もご覧ください。

OSを入れるmicroSDカードは、自宅に在庫していたKIOXIAの32 GBのものを使うことにして、MacBook Proにインストールしてある「Raspberry Pi Imager」を使ってOSイメージをこのmicroSDカードに焼きました。今回使用するOSは、64 bitのRaspberry Pi OSにしました。焼き上がったmicroSDカードをRPi 5に挿して、モニタ、マウス、キーボード、LANケーブルをつないで起動しました。体感ではありますが、起動までの動作は速くなっているように感じました。ケース付属のFANも静音性が高く、起動後は最小限の動作になるようでしばらく止まっていました。ケース自体がヒートシンクになっているものなので、ぬるめのカイロくらいには温かくなっていました。

さて、起動まではスムーズだったのですが、デフォルトの設定が英語なため日本語に設定を変更したいと思います。デスクトップの左上のRaspberry Piメニューから、「Settings」→「Raspberry Pi Configuration」を起動して、「Localisation」内の「Locale」を「ja(Japanese)」←つまり日本語に、「Country」を「JP(Japan)」←これも日本に設定しました。すると、それに合わせてTimeゾーンも「Asia」「Tokyo」と自動的に変更されました。「Keyboard」の設定は、日本語キーボードになっているかと思いましたが、実際に接続しているUSキーボードになっていました。これは、USキーボードが認識されているのかと思いましたが、よく考えたらRaspberry Pi Imagerで設定されていました(^^;;;。これらの設定を終えて「OK」ボタンをクリックすると、再起動を求められるので指示に従って再起動します。すると、メニューを含めてほとんどが日本語表示に設定変更されました。

確認のため、「$ lsb_release -a」コマンドでOSのバージョンを表示させると「Debian GNU/Linux 12 (bookworm)」となっていました。再起動をしたタイミングでWindow上部のメニューバーにアップデートがあることを示すアイコンが表示されていることに気づいたので、このアイコンをクリックしてアップデート作業を行います。これはかなり時間がかかりましたが、しばらく放置して終わるのを待ちました。途中から、流石にヒートシンク(ケース)が熱くなってきたので、FANも回り始めました。アップデートが終わったところで、「Recommended Software」から以下のソフトをインストールしました。

これらを選択したら、「Apply」ボタンをクリックします。すると、ダウンロードが始まってインストール作業が進んでいきます。これもやはり時間がかかるので、別のことをしながら気長に待ちました。新しい環境なのでちょっと欲ばってインストールしてしまいましたが、何とかインストール作業を終えることができました。続けて、さらに追加したいソフトについて「add / Remove Software」からインストールします。今回追加でインストールしたのは以下のものです。

こちらもソフトを検索してチェックボックスにチェックを入れて、「Apply」ボタンをクリックするとまとめてインストールが始まります。ちょっと違うのは、このインストール作業にはパスワードが求められることです。パスワードの設定は、「Raspberry Piの設定」から「パスワードを変更」を選択して設定することができます。パスワードを設定してインストール作業を終えました。それぞれ動作確認してみましたが、起動については問題なくできました。ここでもやはり動作が速いと感じました。

今回は、RPi 5を使える状態にまでセットアップしましたが、これまでに購入してきている初代からのRPiたちをどのように活用していくかを考えなければならないと思っています。古いものにはより軽いOSを入れて、使い方を限定したら快適に使えるのではないかとか、そうするためのOSの選び方や特化させる機能や使い方をどうするかとか、あえてGUIの環境を捨ててCUIだけ、あるいは、ネットワークからアクセスして動かすだけにしてしまうとか、アイデアはいろいろと出てくるのですが…。

2025年2月3日月曜日

12平均律を鳴らすプログラムについて考える

これまでの続きです。Raspberry Pi Picoを使って、音を鳴らすこと(楽曲の演奏)ができるところまではやってみましたが、これも以前IchigoJamで「(PC用)キーボードを鍵盤のように使って音楽の演奏をする」ことにチャレンジしたように、各キーに任意の音を割り振って楽曲の演奏ができるようにすることができないか、そのプログラムはどう書いたらよいのかということについて考えています。

キーボードの各キーに1音1音を割り当てるのは、力技ではあるものの可能であることは想像ができます。しかし今回は、できるだけスマートにプログラムを書くことを目標に考えていきたいと思っています。そのため、「12平均律の式をプログラムに活かす」ことを目指し、12平均律の仕組みや音の周波数はどのような式で表せるのか、そしてそれをプログラムとして書き表せるのかを検証することにしました。
#以下、わかっている人には当たり前の話が続きます。広い心でご覧ください。(^^;;;

はじめに、「A*2^(n/12)」を使って12平均律の音階をExcelでグラフ化してみました。(「A=440」としてセルに入力した値を参照させ、nはAを0としてAから半音上を1、全音上を2…と表したセルを参照させた)すると、見覚えのある曲線のようなものが見えてきます。すっかり忘れていたので、記憶を頼りに「〇〇曲線」とか「〇〇関数」とか、いろいろなキーワードでGoogle先生に尋ねてみました。

すると、当たり前ではありますが「y=a^x(aのx乗)」の描く曲線にたどり着きました。「指数関数」というやつですね。昔学んだことを思い出してきました。以前にPicoで音を鳴らしたときのMicroPythonでのプログラムの中に、「ahz*(2**(2/12))」や「ahz * (2 ** (3/12))」のような表記をしましたが、「ahz」がA4の周波数を表していて、それに「2の(2/12)乗」や「2の(3/12)乗」をかけるという計算をしています。もう少し汎用的な式で表すと「A[i]*2^(n/12)」というような式になると思います。「i=4」なら「A[4]=440」、「i=3」なら「A[3]=220」となるようにプログラムして、「n」の値を「0」〜「12」までの数値で変化させれば、音階に必要な周波数が得られると考えました。

Excelで作った表には、以前紹介した「12平均律と周波数」で示されている数値と同じ周波数値が並びました。第1段階はクリアできました。しかしこれだと、A[i]の値をいちいち用意しなければなりません。そこで、「A[i]*2^(n/12)」(0≦n≦12)という考え方を改めて、初項の「ahz=440」だけを決めて、「ahz*2^(z/12)」(z=整数)という数式で考えることにしました。「z」には、12を超えた数を入れたり、0よりも小さい負の数を入れたりしても、「A4=440Hz」からの音階的な距離(1あたりの変化量は半音)で表現できることがわかり、実際にExcelで表を作って平均律の周波数を得ることができることも確かめました。

MicroPythonでのプログラミングでは、「ahz*(2**(z/12))」のように表現すればよいことになります。この関数に、「A4」の距離を「0」として、そこからの音階的な距離を表す数値「z」を入れると目的の周波数が得られることになります。これならば、「ahz=442」にしたとしても、12平均律を簡単に作ることができるはずです。

試しにプログラムを作ってみているのですが、どうもうまく動かなくてまだ試行錯誤中です。うまくいったら、失敗の原因も含めてお知らせできればと思っています。

2025年1月25日土曜日

YAMAHA製 YDA138デジタルアンプとA100を聴き比べてみる

以前の続きです。前回は、電子楽器のモニタスピーカー用に使っていたXY-C50L(←YouTube動画)をYAMAHAYDA138(←Datasheet)デジタルアンプに置き換えたところまででした。今回は、これも以前の記事で紹介したYAMAHAの古いアンプ「A100」と聴き比べてみたいと思います。

電子楽器の方は、先日、ちょっと時間を作ってしばらく戯れてみたvolca modularとvolcaシリーズではじめに購入したvolca fm2をCV/Gate&MIDIキーボード(SWING)でコントロールしています。これらの電子楽器から出力される音を受けて、スピーカーに出力させていたYDA138デジタルアンプをA100に置き換えて聴き比べます。基本的なセッティングは、YDA138デジタルアンプで設定した状態のままにして、アンプだけをA100に入れ替えて使ってみます。
#スピーカーは、自作2 Wayスピーカーを使っています。

すぐに気づいたのは、音の歪(ビビリ?)が激しかったことです。先ほど紹介した以前のBlogにも書きましたが、A100の方が出力が大きいので小さなスピーカーでは力を出し切ることができません。volca modularのリバーブを切って音量を絞ればそれなりに聞ける状態にはなりますが、少し大きな音を出してしまうと途端にビリビリと音が歪んでしまいます。この状態では、実用的ではないと思いました。程よいセッティングを探して試行錯誤してみたところ、本体もしくはミキサーからの出力音量を少し大きくして、A100からの出力をできるだけ絞ってやると安定した音になることがわかってきました。それでも、音程によってはピンポイントで歪むところがありました。
#A100の電源を入れてからしばらくは、ボリュームを動かすとバリバリとノイズが入るのですが、しばらくするとノイズはしなくなりました。古いので仕方がないかもしれません。

肝心の音質ですが、A100の電源を入れただけでは全くの無音で、YDA138アンプキットと同じで電子楽器のモニタスピーカー用アンプとしては合格だと思いました。購入した当時は、それなりのお値段だったと思いますので、数千円で買える廉価帯のアンプと比べることの意味が問われそうですが、A100の方が様々な音が聴き取れるので、音の解像度は高いのだと思います。歪みさえなければモニタスピーカー用のアンプとしては申し分ないのですが、歪んでしまうのなら使えないのでA100をモニタスピーカー用のアンプとして使うのは断念しました。ということで、新しい楽器たちのモニタスピーカー用のアンプは、引き続きYDA138デジタルアンプを使うことにします。

A100の使い道ですが、ちょっと大きめのスピーカーユニットを使ってスピーカーシステムを組んでみて、A100で使えるかどうか実験してみたいと考えています。自宅で在庫しているフルレンジスピーカーは、10 cm前後のものが多く、それよりも小さいものはありますが大きなものは購入しないとありません。大きなスピーカーユニットは値段も高くなりますので、実験的に使うことを想定して購入するにしては、ちょっと勇気が必要です。中古販売店でも大きすぎるものは思ったより安いことはありますが、いわゆる6.5 inch(16 cm)クラスのものは人気もあるので値段が落ちず、手を出しにくい感じがしています。

せっかくなら、昔のステレオコンポで使われていたようなサイズのスピーカーを導入してみたいところですが、なにせ自室が狭いのでどうしたものかと頭を悩ませています。板材の在庫もそれなりにあるから、エンクロージャーから作ろうと思えば作れてしまうのですが…。

2025年1月19日日曜日

volca modularと戯れる

以前から愛用しているKORGvolcaシリーズですが、中でもvolca modularは、昔からの憧れだったアナログシンセサイザーをコンパクトに再現した入門機だと思っています。これを使いこなせたら楽しいだろうと思って購入しましたが、じっくり腰を据えてvolca modularと戯れて、アナログシンセの面白さを体験してみたいと思いつつ、時間貧乏な生活をしているのでなかなか実現させることができていませんでした。とは言え、いつまで待っても時間は生まれないので、とにかく始めてしまえと見切り発車してみます。
#余談ですが、私がシンセサイザーをいじりはじめた頃は、アナログからデジタルへの移行期で、YAMAHADX7が脚光を浴びている時期でした。
#当時の私の愛機は、RolandJUNO-106(←現在はSoftware Synthesizer)でした。

始める切っ掛けは、YouTubeで見つけたKORG EXPERIENCE LOUNGEの動画(「マシンライブへの脇道 ~君は volca modular と友達になれるか 編~【配信アーカイブ】」と「マシンライブへの脇道 ~君は volca modular と友達になれるか編~ 後編」)を観たことでした。今回はこれを参考にしながら、しばしvolca modularと戯れてみたいと思います。

使用する機材は、BehringerSWINGというCV/Gate&MIDI対応のキーボードを使ってvolca modularをコントロールします。つなぎ方は以前の記事でも紹介しているとおりです。おさらいをしておくと、SWING(キーボード)の「KB CV」出力と「Gate」出力をTRS(ステレオミニプラグ)に変換してvolca modularの「CV-IN」に接続します。ステレオミニプラグ⇔モノラルミニプラグLRケーブルを使って、「KB CV」出力をR(赤)側に、「Gate」出力をL(白)側につないで反対側のステレオミニプラグをvolca modularのCV-INにつなぎました。その信号は、すぐ左側にある2口のピンソケットから出力されて、音程を表す信号のCVは下側から、音のON/OFFを表す信号のGateは上側から出力されます。ここから何もつながないと、いくらキーボードの鍵盤を押しても音は出ません。CVを「SOURCE」の「pitch」につなぎ、Gateを「FUNCTIONS」の「gate」につないでようやくSWINGでvolca modularをコントロールして音が出せる状態になります。

準備作業はまだ続きます。コントロールできるようになったら、キャリブレーションという準備作業をする必要があります。毎度のことではありますが、「volca modular/CV入力のキャリブレーション方法」を参考にして準備作業を行いました。この後の音作りの作業のために、音量(VOLUME)以外のすべてのつまみを0にしておきます。作った音の設定などを保存しておく機能はないので、volca modularの「Supportダウンロード」のページから「ブランク・チャート」をダウンロードして、これに設定などを記録しておきます。昔、JUNO-106で作った音を保存したときも、チャートに書き込んでおくことはありました。それぞれの設定が数値として見えないので、各スイッチの位置で確認しておかないとどの設定をどの様に変更したかがわからなかったためです。
#キャリブレーションが終わった後、キーボードの「PITCH BEND」をいじると音程がずれてしまうことがあるようです。

ここから、しばし音作りに没頭しました。音の信号と制御の信号をどこにどのようにつなげるかを考えながら作業をしましたが、内部の配線とジャンプワイヤーでの配線とが頭の中で混乱してしまうことがあって、何度か「はじめからやり直し」となりました。それも含めて楽しく戯れることができました。完成したと言えるほどではないのですが、シンセブラス(低音)を作ってみたのでチャートにしておきました。

まだまだ使いこなせるようになったとは言えないので、時間を見つけて戯れてみたいと思います。それから、今回使ったキーボード(SWING)は、CV/GateとMIDIを同時に使うことができるので、手元にあるvolca modularとvolca fm2を同時にコントロールして音を出すことができることもわかりました。やってみたいことがどんどん湧いてきますね。(^^;;;

2025年1月11日土曜日

YAMAHA製 YDA138デジタルアンプ自作キットを組み立てる

以前の記事YAMAHAのA100という古のパワーアンプを直した話を書きましたが、そのときに、「YAMAHAのデジタルアンプキットを購入して…」というようなことを書きました。今回は、それを実現するという話です。YAMAHAのYDA138(←Datasheet)というデジタルアンプICを載せたキットを組み立てて、これまで使ってきたXY-C50L(←YouTube動画)やA100などのアンプたちとの聴き比べを計画しました。

今回購入したのは、ノースフラットジャパン(NFJ)で取り扱われている商品で、YAMAHAのYDA138を載せたデジタルアンプ自作キットです。Amazonで「YAMAHA製 YDA138 デジタルアンプ自作キット リターンズ 2024-2025 Ver.」と「専用アルミケースキット」として販売されていたものを一緒に購入しました。自作キット単体でも使うことはできますが、今後長く使うことを考えると筐体があった方が良いし、他にもいろいろとまとめて購入して送料を節約することもねらってまとめ買いをしました。

購入したキットを開封すると、同梱されていたのは基板や部品一式と部品表くらいなもので、組み立ての説明などは一切ありませんでした。つまり、初心者にはちょっとハードルが高いということで、ネットで情報を探しながら組立作業をすることをおすすめします。私は、部品表と基板のシルク印刷を頼りに部品を取り付けていくことにしましたが、Amazonの販売ページにある制作例写真やYouTubeで見つけたちょっと古い動画も参考にしながら組立作業を行いました。
あいはらの木 ものづくりチャンネルさんの「YAMAHA製 YDA138 デジタルアンプ自作キット リターンズ 2020-2021 Ver.の作り方解説と他アンプと音質の比較をする動画」を参考にしました。

組立手順は、作業効率を重視して、背の低い部品から取り付けるというセオリーに従ってはんだ付けを行いました。また、先に紹介した動画では「2020−2021 Ver.」を使っていましたが、今回購入したものは「2024-2025 Ver.」だったため、微妙に部品が違っていて戸惑うことがありました。ここで備忘を兼ねて注意点をまとめておきます。

  • コイルは、被覆によって巻き方向がわからない(向きがわかりそうな目印もない)ので向きは気にせずに取り付ける
    ※コイルの向きによって音質に変化があるという情報も見つけましたが、見えないものは仕方がありません。
  • CT5とCT6のコンデンサは、無極性のものになっていたので「+」記号は関係なく取り付けられる
    ※念の為に写真を見ながら同じ方向になるようにしておきましたが、逆でも問題ないはずです。
  • 専用アルミケースに入れるので、YDA138 デジタルアンプ自作キットに同梱されていた2Pのターミナルブロックは使わず、専用アルミケースキットに付属しているターミナルブロックを使う
    ※筐体にいれる際に、基板左右の縁にはんだ付けする部品のハンダの盛りが厚いとうまく入らないので、山盛りにならないようにしておく必要があります。

これを、専用アルミケースに入れて完成です。普段MacBook Proにつないで使っているXY-C50Lと入れ替えて、音楽や動画を再生して聴き比べてみました。普段遣いとしては、XY-C50Lで全く問題を感じていなかったのですが、YDA138キットに入れ替えると音の再現性が向上するというか、聴こえる音の種類が増える感じがしました。それでいて、ガチャガチャした感じではなくて、それぞれの音が役割をもって聴こえるので、楽曲のハーモニーを形成する音の要素がより鮮明に見えてくるように感じました。XY-C50Lが半完成品(アクリルの板で挟んでボリュームキャップを付ける)で約1,300円程度、YDA138キットが自分で組み立てて約3,000円程度なので、倍以上の差があります。とは言え、何万もするものではなくこの廉価帯のアンプですからそれほど大きな差が出るとは思えず、YDA138キットのコストパフォーマンスの良さを感じることができました。

さて、ここまでやってきて、このYDA138のパワーアンプの使い道としては、新しい電子楽器たちのモニタスピーカー用のパワーアンプとして使ってはどうかと考えました。つい先日、新しい電子楽器たちのモニタスピーカーとして、XY-C50Lと自作2 Wayスピーカーの組み合わせを採用したばかりでしたが、今回購入したYDA138のキットの音が想像以上だったので、パワーアンプを置き換えてみました。すると、予想通りノイズもほぼなしで音の再現性も高く理想的な環境ができあがりました。

さて、もう一つのA100についてですが、長くなってしまったので次回以降にしたいと思います。

2025年1月1日水曜日

電子楽器用として使っているPC用スピーカーと自作スピーカーを聴き比べてみる

以前紹介した自作2 Wayスピーカーについて、作成したときに試聴したところ素直な音が出ている感じがしたので、最近購入している電子楽器用のモニタスピーカーとして使ってみてはどうかと思っていました。その後、自室の様々な音楽・楽器の環境をいろいろといじっている中で、そろそろこの課題にも取り組んでみようかと、重い腰を上げることにしました。

今回の音源となる電子楽器たちは、ここ数年で少しずつ購入して新しくシステムを作っている電子楽器たちで、KORGVolcaシリーズBehringerRD-6TD-3などです。元々これらの電子楽器たち用のモニタスピーカーとしては、Logicoolのスピーカー(Z150←ロゴなどが違う新モデル=展示品扱いで安売りしていたものだったような…)を使っていました。特に問題を感じるところはないのですが、そもそもこのスピーカーはPC用のもの(電子楽器との相性は悪くないと思いますが)です。これと自作2 Wayスピーカーとを聴き比べてみたらどんな違いがあるのか(それほどでもないのか)試してみたいと思います。

これらの新しく購入した電子楽器たちは、古くから所有している電子楽器たちに比べてかなり安価なものです。(昔欲しかったものと似たようなものが、今は安価に手に入るようになったと喜ぶべきなのか、昔の方が趣味にお金をかけられたのにと嘆くべきなのか…)それに合わせて、今回使う自作2 Wayスピーカーだけでなく、ミキサーやアンプも手頃な価格で購入できるもので揃えていきます。

ミキサーは、AU-401(←公式サイトは見つからず、Google先生に聞くといろいろ出てきます)という、4 in 1 outのステレオミキサーを使うことにします。このミキサーは、3.5mmのTRSソケットを4系統備えていて、それぞれのステレオ入力をMixして1系統にしてステレオ出力するものです。複数のヘッドホン(ステレオ)出力を1つにまとめて、TRSケーブルの差し替えをせずに1つのヘッドホンで聴きたいというようなときに使うためのものだと思います。本体はとても小さく、入力側の音量調節ボリュームはついていますが、出力側にメインOUTのようなボリュームはついておらず、必要最小限の簡素な作りになっています。これはAmazonで約1.9千円で購入しました。

アンプとしては、これまでもに使っていたXINYI Sini Audio(XY-C50LYouTubeの動画)が手頃で使いやすくて音も悪くないことから、もう1台購入して電子楽器用のモニタスピーカーのアンプとして使ってみることにしました。このアンプは、AUX(TRS)入力だけでなく、Bluetooth入力とUSB AUDIOにも対応しているデジタルアンプです。現在でもAmazonで約1.3千円くらいで購入することができます。いろいろなところで取り扱いがあって、中華製品あるあるで謳っている仕様がバラバラなのですが、およその仕様は以下のとおりのようです。

〈XY-C50L(AP3050DアンプIC内蔵)〉

  • 電源:DC 8〜26 V
  • オーディオ入力:Bluetooth+AUX+USBドライブ+USBサウンドカード
  • 音量調節:エンコーダ360度無制限同調(押すことで入力モードを変更できる)
  • オーディオ出力:ターミナルコネクタ(端子台)+3.5 mmTRS
  • 出力:50 W*2
  • インピーダンス:4〜8 Ω

スピーカーの聴き比べをしてみると、自作2 Wayの方が音の響きがよく感じられました。スピーカーユニットやエンクロージャーの大きさも違うし、自作2 Wayの方はツイーターも入っているし当然と言えば当然です。

問題は、高周波のノイズが乗っていて、電子楽器からの音に干渉してさらにノイズが広がることでした。接続を見直したり抜き差ししたりして確かめましたが、ミキサーを介さずに電子楽器単体でアンプに直接つなぐとノイズが発生しないため、安物のミキサー(AU-401)がダメなのかと思いました。

しかし、ミキサーに1つの電子楽器だけを接続するとノイズが消えることと、AC-DC電源アダプタからの給電を1つの電子楽器だけにしてもノイズが消えることから、1つのAC-DC電源アダプタから3つの電子楽器に給電しているDC-HUB(1入力4出力)を使っていることが原因だということがわかってきました。DC-HUBと電子楽器とミキサーの間で、いわゆるグランドループが発生していて、発振してしまっているということです。

そこで、最近購入して試用だけしていた「グランドループアイソレーター」を電子楽器とミキサーの間に入れてつないでみたところ、発振がなくなって問題なく音が出るようになりました。どこでループが発生しているかを特定して、その中にアイソレーターをいれることで劇的に変化するということを知りました。複数のループが発生している場合は特定が難しいかもしれませんが、考え方が理解できてよい勉強になりました。